HONMEMO

読書備忘録です。

百年の散歩/多和田葉子

ちょっと備忘の切り取り。

 

わたしは、黒い奇異茶店で、喫茶店でその人を待っていた。

…あこがれの、焦がれの、焦げついた、じりじり燃える、燃え尽きた、熱い、輝くポーランドへ、

…『おつまみ』という概念はなく、おつまず、つままず、つつましく、きつねにつままれ、つまらなくなるまで話し続けた。…

「大理石」は、「総理大臣」と似たところがあって、この石には似合わない。それなら「Marmor」というドイツ語が似合うかと言うと、これも丸すぎて似合わない。びったりの名前を見つけてもらえないままの石がごろごろ脳の中にころがっている。早くどうにかしてあげないと。たとえば「ミルクが汚れをまきこんで固まってできたような石」と呼んでもいい。でも、「ミルク」という単語は、連絡網が大き過ぎて、一度こぼれてしまうと、勝手にいろいろな方向に流れていって、何もかもがミルクに濡れて、たとえば黒いミルク、そして汚染されたミルク、または。

 

いずれまたもう少し落ち着いた環境の中で読みたい。

 

百年の散歩

百年の散歩