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読書備忘録です。

ヘンな日本美術史/山口晃

-鳥獣戯画 4巻の構成の妙で見ると味わい深い。わざとふにゃっとちょろまかすように書くのが日本の絵の特徴。筆致に宿るものに重きがある。

-白描画 字が擬人化され、人が擬デザイン化される。紙の白がそのまま絵画の中の空間になる。白を残して描く印象派に通じる。白描画に限らず、日本の絵は黒がポイント。

-絹本 白の使い方(乗せ方)がポイント。

-伊勢物語絵巻 調度品要素の高い絵の特徴は毒にも薬にもならない感じであること。日本画は、透視図法的写生の技法が投入されて、モチーフと背景がバラバラになった。

-伝源頼朝像 似せることに神経を使っている(見ながら書いている)が、若冲の言う「神気」を捉えて描くことでイメージを強化するのが、二次元化の本質。絵の置かれた光環境を考慮する必要。

-雪舟 こけつまろびつ、前のめりの破綻がある。現実の風景の首根っこを大掴みに捕まえるための筆法として破墨を選んだ。慧可断臂図の空間の捉え方=目は前から、耳は後ろから、輪郭は横から描かれている。写実的でないイリュージョンに「真実」をみる。

-洛中洛外図 当時の人気モチーフでたくさん作られた。どこからか見て書いたものでなく、様々な視点からみえる風景を合成したもの。あるやうな無いような遠近感。

-松姫物語絵巻 下手だけれど、妙な魅力がある。一番見られない下手=妙なこなれ感はあるが絵心がないというレベルのもの。

-彦根屏風 デッサンのような写実性でなく、透視図法的な視点の固定のない写実(記号化された「型」に実を託す)

-岩佐又兵衛 「真景=目に見える実物より一層真実に近いもの」に到達しようという意思

-円山応挙伊藤若冲 生前から売れているものは軽薄か?不遇の芸術家神話は問題

-河鍋暁斎

-月岡芳年

-川村清雄

 

ヘンな日本美術史

ヘンな日本美術史