HONMEMO

読書備忘録です。

古典を読んでみましょう/橋本治

この辺は、橋本治の独擅場。

古典はなぜ読めないのか。

理由は、①意味がわからない言葉が多い②旧仮名遣い③文語体

古典には、公文としての漢文(あるいはその流れをくむ漢文脈の文章)と、物語に代表される和文脈の文章が並存する。特に和文脈の文章は、論理的に物事を説明するものではないから、句読点はない場合もあり、あっても、意味の分節ではなく息づかいに従って打たれる。また、論理的繋がりを問題としない表現方法である掛詞というものがあったり、一つの文章の中で主語が変わるなどということも起こる。だから、とても自由だが読みにくい。

そんな古典に親しむ方法は、よく知っているもの(例えば浦島太郎)を読んで、慣れること。知っていると思っても、御伽草子の浦島太郎が最後鶴になるとか、時代背景を反映した思わぬ発見もある。

「本を読む」ということは、何が書いてあるかよく分からないことを探り探り読んでいくことでもある。そうやって身に付けるのが愚管抄慈円のいう「智解」である。