HONMEMO

読書備忘録です。

黄金夜界/橋本治

金色夜叉本歌取り

金色夜叉がそうであるように(粗筋しか知らないけど)、ストーリー自体は極めて通俗的なのだが、平成の時代を切り取って見事(橋本治晩年の小説は皆そうだ。)。

怒りさえもねじ伏せてしまう強い絶望のうちにある貫一には、愛すらも欠落してしまっている。貫一は、美也と再会することで、自らのそんな絶望に気づいてしまう。悲しいラスト。

橋本治の描く平成は、物悲しい。

 

 

黄金夜界 (単行本)

黄金夜界 (単行本)