HONMEMO

読書備忘録です。

2011-01-01から1年間の記事一覧

今年の3冊

読書メーターによると、私の今年読んだ本は106冊(1日平均0.29冊)、読んだページ数は31583ページ(1日平均86ページ)。上下をそれぞれ1冊に数えることをしないと、89冊。 恒例により今年の3冊。いずれも古典といってよいもの(周五郎は比較的新しいですが。)。…

星の王子さま/サンテグジュペリ

NHKでサンテグジュペリのドキュメント(再放送)をたまたま見たのをきっかけに、かみさんの棚から拝借して、池澤夏樹による新訳で読む。小学生の頃に読んだことがあるけれど、これはやはり大人向けの寓話です。4本のトゲをもつ花は、妻コンスエロそのものなの…

オーパ!/開高健

「輝ける闇」、「夏の闇」(未読)、あるいは芥川賞の「裸の王様」などより有名かもしれません。実際、高橋昇の素晴らしい写真と相俟って、これが生命(力)だ!という感動(カバーのピラーニャの写真の迫力はどうでしょうか。)あるいは人間の原点にある活力…

ティファニーで朝食を/トルーマン・カポーティ

村上春樹による新訳です。表題作のほか、花盛りの家、ダイヤモンドのギター、クリスマスの思い出を収録。 村上春樹による解説にあるように、映画は小説とは全く異なるもののようです。確かに、主人公ホリー・ゴライトリーの「イノセンスの翼を持った」「型破…

腹の虫/中川一政

昭和50年に日経に連載された私の履歴書に加筆したもの。履歴書にしては一風変わっていて、生い立ちなども書かれてはいるものの、ほとんどが芸術論です。短歌に飽き足らずに画の世界にはいったというのも肯なるかなというあじのある、また、まさにその絵画そ…

おとうと/幸田文

母親が継母であり、また、貧しい家庭であったことなどもあって、弟はぐれていき、最後は結核で死ぬ。そんな弟に注がれる気丈な姉の愛情がこまやかに描かれています。映画化もされているようですが、映画では一つ間違うとお涙頂戴的な安っぽいものになりかね…

百代の過客/ドナルド・キーン

平安時代から江戸時代までの80編に上る日記文学の評論であり、日記文学を通じた日本人論です。朝日新聞に連載されていた記憶がありますが、20年も前ですか…。 百代の過客 日記にみる日本人 (講談社学術文庫)作者: ドナルド・キーン,金関寿夫出版社/メーカー:…

日本的感性/佐々木健一

和歌を素材として日本的感性の構造を解き明かすというものです。桜(はな)、おもかげ・なごり、わたり、風景とけしき、ずらしなどのキーワードによって和歌にあらわれる感性が学術的に分析されます。感性の構造がどうかという本書のテーマは私の手にあまる…

異界を旅する能/安田登

すごく興味があるのですが、TVで見ていても何を言っているかサッパリわからないし、アクセスするのにとてつもなくハードルが高い感じがするのが能。本書は、夢幻能といわれる能の構造をわかりやすく説明してくれます。漱石や芭蕉を楽しむのにも能についての…

人生を救え!/町田康・いしいしんじ

毎日新聞に連載された町田康による人生相談(!)と、町田康といしいしんじの街歩きをしながらの対談です。 「パンク歌手に成り下がった」と言う町田康が人生相談をする、というところがみそで、そこがいいのですね。 人生を救え! (角川文庫)作者: 町田康,い…

小さな手袋/小沼丹

これも手にしたきっかけを忘れていますが、堀江敏幸が言及していたのだったか…。師の井伏鱒二、庄野潤三、木山捷平との交遊や庭の植物のことなどなど、さりげないユーモアが楽しい。表題作は、掌編小説のようでもあります。 小さな手袋 (講談社文芸文庫―現代…

挟み撃ち/後藤明生

わたしは、ある日突然、昔着ていた外套の行方が気になって下宿先や質屋を訪ねて回る。 ゴーゴリへのオマージュ。 脳髄にへばりついた「とつぜん」は、太宰のトカトントンを想起させます。 人の思考を丁寧にたどるような脈絡のないようなあるような文章に味が…

中国のジレンマ 日米のリスク/市川眞一

資源価格と元レートの相関関係とか、米国経済の「大統領サイクル」とか、なかなか面白く、また、5年後の中国の大きく異なる2つのシナリオの提示も、新書本レベルの大雑把さではありますが、なかなか興味深いです。中国との関係がこれからの日本の政治・経済…

千年の黙/森谷明子

紫式部がホームズ役になる源氏物語をめぐる謎解き物語です。輝く日の宮の謎をめぐっては、丸谷才一の小説「輝く日の宮」がありますが、本書は、それとほぼ同時期に発表されているようです。この時代を背景とする物語を読むことはあまりないこともあって、な…

まろ、ん?大掴源氏物語/小泉吉宏

まんがです。娘が受験の頃に買ったものらしい。源氏物語を全く知らないので、千年の黙という本を読む前にちっとでも源氏を知っていた方がいいかと思って読んでみました。1帖を見開き2ページ程度に凝縮しているので、大掴みもいいところで、まあ何だかさっ…

新世代ビジネス、知っておきたい60ぐらいの心得/成毛眞

第6章 アメリカ企業の意外な現実、第7章 フェアじゃないアメリカ、第8章 アメリカを見習うな、とマイクロソフト日本法人の社長を務めた人らしからぬ*1見出しが並びます。2000年上梓のもののようですので、親米的施策を追求していった小泉内閣成立前夜に書か…

昭和16年夏の敗戦/猪瀬直樹

昭和16年、ベスト・アンド・ブライテスト(?)を集めた総力戦研究所が組織され、その机上演習で敗戦という結果を得ていた一方で、政府・軍部では、南方油田の産油量を甘く見積もったり、制海権が奪われることによって石油の輸送が途絶することなどを考慮に…

表徴の帝国/ロラン・バルト

日本を題材としているので日本文化論みたいでもあり、興味深いのですが、エクリチュール論は凡人にはなかなか厄介です。内田樹「寝ながら学べる構造主義」にも何か書いてあったはずですが、すっかり忘れています。 表徴の帝国 (ちくま学芸文庫)作者: ロラン…

海山のあいだ/池内紀

ドイツ文学者による登山などの紀行文や生い立ちの記風のもの、掌編小説のようなものなどを収録した初出1994年の講談社エッセイ賞受賞作です。 海山のあいだ (角川文庫ソフィア)作者: 池内紀出版社/メーカー: 角川書店発売日: 1997/06メディア: 文庫この商品…

人間と国家/坂本義和

国際政治学者坂本義和のメモワールです。学生の頃、段階的一方的(核)軍縮イニシアティブという考え方に目の覚める思いがしたものです。 国家でなく、市民を主体として考えるという点においてブレがなく、その徹底ぶりは見事です。理想主義者とのレッテルを貼…

北杜夫死去

私の中で、ちょっと特別な位置を占める作家が亡くなった(記事)。「楡家」の再読の契機としようかな。

疾走/重松清

カバー裏に現代の黙示録とありますが、むしろ、これでもか、これでもかというほど、試練にみまわれるという意味で、現代のヨブ記というべきでしょうか。シュウジはヨブのように報われることはないのですが、ラスト1ページ、エリ、アカネに、「望」がもたらさ…

日本の大転換/中沢新一

原発事故を体験した日本は、原子力エネルギーから太陽エネルギーを活用した社会へと変わらねばならず、また、原発と資本主義のアナロジーから、経済も、資本主義から太陽エネルギーの恩恵を増幅させる(農林水産業を重視するいわば現代の重農主義ともいうべ…

オン・ザ・ロード/ジャック・ケルアック

ドラッグ・酒におぼれ、アメリカ大陸をヒッチハイクし、あるいは仲間の車を爆走させながら、何回も往復するロード・ムービーならぬロード小説?映画イージー・ライダーを想起させます。 ビート・ジェネレーションの代表作といった位置づけのようですが、beat…

外交回想録/重光葵

第一次大戦勃発から太平洋戦争開戦前夜までの重光葵の回想録。古谷綱正に口述筆記させたものです。重光葵といえば、ミズーリ艦上での降伏文書調印式の映像が印象的ですが、本書の対象となった時期以降、調印式までの記録は別に刊行されているようです。 戦犯…

最後の努力 ローマ人の物語35〜37/塩野七生

ディオクレティアヌスからコンスタンティヌスまで。ほぼ惰性で読んでる感じ。 ローマ人の物語〈35〉最後の努力〈上〉 (新潮文庫)作者: 塩野七生出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/08/28メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 6回この商品を含むブログ (35件)…

ノルウェイの森/村上春樹

四半世紀前に一度放り投げたのは、ベストセラーに対するある種の拒否感から来るものだったかもしれません。片っ端から自殺させるなとか思わないでもないですが、羊男みたいなのが出てこない村上春樹もいいものです。 ノルウェイの森 上 (講談社文庫)作者: 村…

飛ぶ教室/ケストナー

著名な児童書(?)。戦前の書という時代の規定するところかもしれませんが、倫理的な、いわゆる教育ママ(死語)に好まれそうなお話で、ひねたおっさんには、いいお話ですねという以上のものに感じられず。 飛ぶ教室 (光文社古典新訳文庫)作者: ケストナー,…

地獄変・偸盗/芥川龍之介

芥川は、教科書に載っていた羅生門とか、片手で数えられるくらいの短編を読んだことがあるだけ。 本書は、表題作のほかに、竜、往生絵巻、藪の中、六の宮の姫君を収録。いずれも今昔物語、宇治拾遺物語に原典があるもの。 地獄変・偸盗 (新潮文庫)作者: 芥川…

ヨブ記/関根正雄訳

クシュナー「なぜ私だけが苦しむのか」の副題は、現代のヨブ記。ということもあって、読んでみましたが、そもそもテキスト自体がはっきりしないということでもあるそうで、一筋縄ではいきません。経典の類はまあだいたい禅問答のようなものと相場が決まって…