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読書備忘録です。

北斎になりすました女/壇乃歩也

北斎の娘応為の作品には、夜桜美人図や吉原格子先之図など、光と闇の捉え方がとても美しい、素晴らしいものがある。また、指先の描き方とほつれ髪に特徴があると言う。

また、北斎の作品には、応為との共同作業によるものと考えられるものがある。特に晩年には応為のウェイトが高まり、例えば、絶筆とされる「富士越龍図」は、そのほとんどを応為が描いたのではないかとする説(久保田一洋)もある。応為が(主として)描いたのではないかとされるものでも、北斎の名前の方が高く売れるために北斎の落款を付したり(北斎になりすます)、女性の地位が低いことなど封建的な社会事情から無落款のものもあるので、実際応為が描いたものかどうかを判定するのはなかなか難しいことのようだ。

本書は、BS11のドキュメンタリー番組製作がもとになっているとのことだが、応為の人物ノンフィクションというものでは必ずしもなく、また北斎と応為の作品の謎解きというにはやや雑な感じがしないではない。

本書を手にとったのは、随分前になるが、NHK宮崎あおい主演のドラマの記憶があったため。

小説もあるのか(朝井まかて「眩」)。今↓の検索候補に出てきて知った。NHK ドラマはこの小説がベースになっているようだ。

 

北斎になりすました女 葛飾応為伝

北斎になりすました女 葛飾応為伝

  • 作者:檀 乃歩也
  • 発売日: 2020/03/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)