HONMEMO

読書備忘録です。

事実vs本能/橘玲

週間プレイボーイ連載の時事コラムをまとめたもの。

・国際成人力調査(PAAC)は、大人の読解力、数的思考力、ITを活用した問題解決能力の調査(2011〜12)だが、その結果はにわかに信じられないほどだ。

著者によるその結果のまとめは、やや言い方に難があるが、

1 日本人の3分の1は日本語が読めない。

2 日本人の3分の1以上が小学校3〜4年生以下の数的思考力しかない

などというもの(ただし日本は先進国1位)。

社会は、誰でも専門的な文章を読み、論理的思考ができることを前提に成り立っているのだが、この調査結果からすると、「話せば分かる」「読んでもらえば分かる」というのは幻想ではないか。これが現代社会を揺るがす民主主義の危機の本質である。この調査の最下位から4カ国は、五つ星運動のイタリア、ポデモス、ボックスのスペイン、ルペンのフランス、トランプのアメリカであり、知的スキルが低いと失業率が高まり、結果ポピュリズムが台頭するのではないかと。

民放の金太郎飴のようなワイドショー、バラエティはこのマスをターゲットにしているということか。話がズレた。

そのほか、メディアを賑わせた事件や言説の偽善や隠れた本質(?)を、心理学、行動経済学、進化論的などの観点から指摘するものが多い。

 

事実 vs 本能 目を背けたいファクトにも理由がある

事実 vs 本能 目を背けたいファクトにも理由がある

  • 作者:橘 玲
  • 発売日: 2019/07/26
  • メディア: 単行本