HONMEMO

読書備忘録です。

エデュケーション/タラ・ウェストーバー

偏執的なモルモン教徒かつ狂信的プレッパー(サバイバリスト)であり、双極性障害を持つ父は、暴力で家族を支配する。母はどちらかと言えば父親に加担し、兄弟の何人かは家を出るが、多くはその支配を脱することができず、頼りにならない。兄の一人は父に輪をかけた暴力で著者を苦しめる。

著者は、高校まで学校にも行けず、父の危険な廃品回収業を手伝うが、その後、モルモン教系の大学に入学、ケンブリッジ、ハーバードで学び博士号を取得するまでになる。

父親や兄から物凄い暴力を振われながら、それでも愛情があって離れられないという感覚は容易に理解し難いのだが、暴力を伴う精神的な呪縛がいかに強かったかということの表れであり、これが、本書の恐ろしいハイライトだ。その呪縛から逃れられたのは教育のためであり、「多くの知識、歴史、視点を評価する能力こそが自分を確立するための本質であると信じるようになった」というのだが、付け足しのようでもある。

 

エデュケーション 大学は私の人生を変えた

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