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読書備忘録です。

「三代目」スタディーズ/鈴木洋仁

「三代目」は、ウジ社会(血縁のみでつながる)とイエ社会(頻繁な養子縁組によって続く)、さらにはムラ(無原則かつ繋がりがない)の交わるところに位置するがゆえに、旧弊にだけ囚われるのではないが、新しいルールにのみ従うのでもない「あてどなさ」を特徴とし、無邪気な個人主義を発揮する。

近代日本は、自らを「三代目」と位置付けられる自由を持った融通無碍な、あてどなさを特徴とする社会(自立した自由な個人の意思に基づく社会でもなければ、ならわしに囚われた共同体でもない、宙ぶらりんな社会)なのではないか。