HONMEMO

読書備忘録です。

生かされて。/イマキュレー・イリバギザ、スティーヴ・アーウィン

1994年のルワンダの大量虐殺を生き延びた著者の独白録。2006年の上梓。当時、映画ホテルルワンダほどでないにしても話題になった本だが、たまたま図書館で目に入って。少年少女に語りかけるような柔らかな文章だ。

虐殺の嵐の中を狭いトイレに3ヶ月もの間こもって神に祈り、恐怖の中を何とか生き延びた後、著者は、信仰により父母兄弟を惨殺した者も含めて虐殺者を許す。

宗教は対立を過激化させる元凶でもあるが、このような和解のきっかけをもたらしうるものでもある。

国連職員となってアメリカに渡った著者は、今どうしているだろうかと思う。ルワンダの奇跡といわれる経済発展は民族の融和の故だというのであれば素晴らしいが、そんな簡単なものでもなかろうな。