HONMEMO

読書備忘録です。

2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

パンと野いちご/山崎佳代子

第2次大戦、ユーゴスラビア紛争下での旧ユーゴスラビアの人々の食を中心とする?記憶の聞き書き。6つの共和国、5つの民族、4つの言語、3つの宗教などと言われる極めて複雑な地域であることなどにもよるのだが、もう少し整理してもらわないと、読むのが辛い。…

神様の住所/九螺ささら

短歌の後に散文、そして最後にまた短歌というスタイルの小編が84。 言葉の持つ意味だけでなくて、その語感、音、リズム、形までを繊細にすくい上げることができる人が詩人であり、歌人なのだろう。 25 枕 木琴は絵に描いた線路の枕木だんだん高音だんだん遠…

作家と楽しむ古典(2)/堀江敏幸ほか

土左日記ー堀江敏幸 堤中納言物語ー中島京子 枕草子ー酒井順子 方丈記ー高橋源一郎 徒然草ー内田樹 池澤夏樹監修の日本文学全集で古典の現代語訳を担当した人が行った「連続古典講義」をまとめたものの第2巻。 翻訳というのは、単に言葉を置き換えることでは…

ウィスコンシン渾身日記/白井青子

アメリカの田舎はなかなかいい。マディソンは州都だけど、アメリカの州都はだいたいこじんまりした田舎なんだよな。 ウィスコンシン渾身日記 作者: 白井青子 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 2018/06/21 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る

日本で1日に起きていることを調べてみた/宇田川勝司

「1日という時間を尺度にした数字に表してみることで、現代日本の意外な側面や驚きの事実が浮かび上がってくる!」とのこと。意外と思ったり、驚いたりというのは人それぞれであろうとは思うけれど、数字の根拠が明示されておらず、びっくりしていいのかどう…

古典を読んでみましょう/橋本治

この辺は、橋本治の独擅場。 古典はなぜ読めないのか。 理由は、①意味がわからない言葉が多い②旧仮名遣い③文語体 古典には、公文としての漢文(あるいはその流れをくむ漢文脈の文章)と、物語に代表される和文脈の文章が並存する。特に和文脈の文章は、論理的…

八九六四/安田峰俊

天安門事件はその後どのような影響を人々にもたらしたか。王丹、ウーアルカイシのようなリーダーから非知識人の参加者、当時は生まれていない香港民主化活動家まで、多様な人々に対するインタビュー。転向して中国の現状をやむを得ないと考える者、引き続き…

生きづらい明治社会/松沢裕作

・ 負債農民騒擾は、地租改正により「村請制」が廃止されたにもかかわらず、農民が江戸時代の慣習に基づいて、借金返済猶予、土地の買戻し権の容認などの配慮を求めたことにより生じた。 ・ 現代の貧困層に対する冷たい視線は、明治期に遡る。貧民窟に暮らす…

春にして君を離れ/アガサ・クリスティ

砂漠の駅に3日ほどたった一人で足止めをされて、主人公ジョーンは自らを見つめることになる。そして、自分は、実は、自ら信じて疑わなかった、夫からも子供たちからも、そして誰からも愛され、信頼されているような人間ではないのではないかと気づく。そして…

日本進化論/落合陽一

キーワードは、ポリテック。テクノロジーに対するオプティミスティックな態度を若者の特権などと言わず、頭の固い政治の世界が認めていく必要。この本の軽やかな作り(なんとはなしにチャラチャラした感じの作り)自体が明るい未来を垣間見せるようにさえ思う…