HONMEMO

読書備忘録です。

2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧

わたしの旅に何をする。/宮田珠己

椎名誠系(といってもずいぶん違うけれど)の旅エッセイ。独特のユーモアを素直に楽しめるかどうかで評価が割れそうです。 わたしの旅に何をする。 (幻冬舎文庫)作者: 宮田珠己出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2007/06メディア: 文庫購入: 12人 クリック: 31…

対岸の彼女/角田光代

人間というのは、人の間、コミュニケーションそのものなどと言われるわけで、子供も、学生も大人になってもそれは変わりはしない。葵(とナナコ)の過去から現在と、葵と小夜子の現在の関係が時にいたいたしいほどリアル。 直木賞受賞。105円で読む直木賞、…

恋文/連城三紀彦

表題作のほか、「紅き唇」、「十三年目の子守唄」、「ピエロ」、「私の叔父さん」。 離婚届が恋文になるような、ミステリーから出発したという作家らしい仕掛けが面白い。直木賞受賞作。 恋文 (新潮文庫)作者: 連城三紀彦出版社/メーカー: 新潮社発売日: 198…

沖で待つ/絲山秋子

表題作は、芥川賞受賞。私と太っちゃんとの(男女間の)友情がユーモラスでもあり、せつなくもあり。エンタメ系という感じです。併録されている「勤労感謝の日」は、きっぷがいいし、納まりがよくて後味がいいですね。「みなみのしまのぶんたろう」は、芥川…

江分利満氏の優雅な生活/山口瞳

山口瞳といえば、「血族」が、私小説の極北というか何というか、強烈なインパクトがありました。一方、本書は、週刊誌連載の漫然としたエッセイのようで、直木賞受賞作という感じはしません。直木賞受賞作必ずしも名作にあらずではありますが。 手元の(絶版…

切羽へ/井上荒野

主人公は、離島で夫と幸せに暮らしているのですが、石和という奇妙な雰囲気をもつ男に惹かれていきます。その関係は切羽に達するに至らず、不思議な空気が漂います。 直木賞受賞作。 切羽へ (新潮文庫)作者: 井上荒野出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/10…

蛇にピアス/金原ひとみ

異様な世界を垣間見るというのも小説の愉しみ。 解説の村上龍が言うとおり、最後ルイがシバさんにどういう感情を持ったのかは謎で、それがこの作品の芥川賞受賞に値する深みとなっているのでしょう。こういうものって、一つ間違えると、ホントの訳分からん駄…

その日のまえに/重松清

家族の死をめぐる連作短編集です*1。 死の直前に書かれ、死後3ヶ月経って読むように夫に渡されたたった一行の手紙など、家族、夫婦の情愛にしみじみ涙してしまいます。 その日のまえに (文春文庫)作者: 重松清出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2008/09/03メ…

彼女(たち)について私の知っている二、三の事柄/金井美恵子

「小春日和」から10年後の物語。「小春日和」は面白く読んだのですが、(彼女たちが年をとったからというわけではもちろんないのですが、)饒舌調もなんだか鬱陶しくて。 彼女(たち)について私の知っている二、三の事柄 (朝日文庫)作者: 金井美恵子出版社/メ…

昭和天皇のお食事/渡辺誠

宮内庁大膳で天皇陛下の食事や修行の日々の記録です。陛下の日常の食事は庶民のものとそんなに変わりませんが、作り方は相当に変わっています。サンドイッチの作り方などびっくり。 昭和天皇のお食事 (文春文庫)作者: 渡辺誠出版社/メーカー: 文藝春秋発売日…

虚空遍歴/山本周五郎

周五郎は、庶民の哀歓を描いて、私の最も好きな作家の1人です。多くの箴言がちりばめられているのも周五郎の作品の特徴ではないかと思います。箴言というのは、一つ間違うと説教くさくなったり、あるいは言葉が薄っぺらいとアホかと壁に投げつけたくなったり…