HONMEMO

読書備忘録です。

2006-06-01から1ヶ月間の記事一覧

わたしたちが孤児だったころ/カズオ・イシグロ

端正な文章だなという感じがする(翻訳だけど)。パーティー受付でのサラとクリストファーのやりとりから始まって、場面、場面がとても鮮やかだ。クリストファーが突き止めた父母失踪の真実は・・・ネタバレになってもいけないので、やめておく。そしてアキ…

唐獅子株式会社/小林信彦

70年代の世相を背景として、仁侠映画など様々なものをパロディにした連作短編。筒井康隆による原典探索による解説つき。やはり70年代の風俗を知っている方が楽しめるだろう。 唐獅子株式会社 (新潮文庫)作者: 小林信彦出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1981/0…

路上観察学入門/赤瀬川原平・藤森照信・南伸坊編

編者3人による路上観察をめぐる座談(司会松田哲夫)の模様が楽しい。路上観察の教祖、神とされる(?)林丈二という人の仕事は確かに凄すぎる・・・。 路上観察学入門 (ちくま文庫)作者: 赤瀬川原平,南伸坊,藤森照信出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1993/1…

死の泉/皆川博子

ナチスの人種選別、人体実験などをモチーフとした、戦中、戦後のドイツを舞台とする猟奇的ロマン。ストーリーをちょっとひねりすぎかなという気もする。97年週刊文春ミステリベスト10第1位、吉川英治文学賞受賞作。 死の泉 (ハヤカワ文庫JA)作者: 皆川博子出…

軍旗はためく下に/結城昌治

敵前逃亡・奔敵、従軍免脱、司令官逃避、敵前党与逃亡、上官殺害の5編からなる昭和45年の直木賞受賞作。昭和45年といえば、大阪万博、70年安保、ベトナム戦争泥沼化という時代。戦争を知らない世代が25歳になる一方、なお多くの人が戦争の記憶を引きずっていた…

パクス・ロマーナ〜ローマ人の物語14〜16/塩野七生

初代皇帝アウグストゥスの物語。共和制復活というような幻を見せつつ時間をかけて着実に帝政の基礎を築いたということだろうか。絢爛豪華な戴冠式があったわけではなさそうなのがへぇ〜。 ローマ人の物語〈14〉パクス・ロマーナ(上) (新潮文庫)作者: 塩野七…

WATARIDORI

昨日、NHKBS2にて。かみさんによるとCGではないのだそうな。驚き。どうやって撮ったんだ?ってことがずっと気になって、口があんぐりあいたまま。芸までさせてる感じの編集(?)も面白い。 WATARIDORI コレクターズ・エディション [DVD]

白洲正子自伝/白洲正子

背筋がピンと伸びている感じ。今なかなかいないだろうなこういう人。本当に魅力的な人だ。解説は車谷長吉。 白洲正子自伝 (新潮文庫)作者: 白洲正子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1999/09/29メディア: 文庫購入: 8人 クリック: 69回この商品を含むブログ (…

柳宗悦邸

先日NHK新日曜美術館で柳宗悦邸の復原を取り上げていて、この週末に散歩がてら見に行こうと思っていたのだが、今ちょっとブログ検索をかけてみたら何やらもの凄い混雑のようだ。う〜む、どうするか。7〜9月は水曜だけの公開らしい。そんなのリタイヤした…

雪明かり/藤沢周平

市井もの、武家ものの短編8篇。筋はすぐに忘れてしまうような気もするのだけれど、それぞれに、しみじみしたり、やるせなかったり、せつない思いがあったり、心休まる。 雪明かり (講談社文庫 ふ 2-1)作者: 藤沢周平出版社/メーカー: 講談社発売日: 1979/02メ…

君が代の替え歌

ちょいと前の産経の記事から。 表示できません - Yahoo!ニュース まあこういうのは、なかなか上手いじゃんってことでいいと思うのだけど。よく出来てるワ、ホント。高橋某のコメントもコメントだが、産経にしても、もうちっとほかに誰か頼む人はいなかったの…

天の夕顔/中河与一

カバー裏によると、「ストイックな恋愛を描き、ゲーテの「ウェルテル」に比較される浪漫主義文学の名作」なのだそうだ。昭和13年に発表、手元の新潮文庫は、29年初版で平成15年3月81刷改版というロングセラー。 しかし、率直なところ、私には呆れ果てたカマ…

腕一本・巴里の横顔/藤田嗣治(近藤史人編)

近藤史人『藤田嗣治「異邦人」の生涯』を読んだのに始まって、近代美術館での展覧会、TVドキュメントと、この春は藤田づくしだったが、この本でとりあえず〆め。 腕一本・巴里の横顔 (講談社文芸文庫)作者: 藤田嗣治,近藤史人出版社/メーカー: 講談社発売日:…