HONMEMO

読書備忘録です。

2023-11-01から1ヶ月間の記事一覧

中国の死神/大谷亨

中国の死神「無常」とは、中国民間信仰(仏教・儒教・道教と直接は関係しない)の領域の鬼神であり、死者を鬼界へ導く勾魂使者。様々なバリエーションがあり、ユーモラスな趣もあるのだが、長い舌をダラリと垂らすなどそのビジュアルが強烈で、何やらそれだけ…

私の文学史/町田康

町田康の自分語り。高尚な言葉、建前の言葉と卑俗の言葉、本音の言葉。前者は欺瞞の言葉、後者は公にすると面白くなる。 詩は、わからんけどわかるもの。重大なことを書くと面白くなくなる、 文体は、その人の意思そのものであり(癖ではない)、工夫している…

武器になる哲学/山口周

ビジネスシーンなどでの活用を意識した50の哲学・思想についてのいわば箴言集。▼知らないものや認識を新たにしたものも多く、興味深く読んだ。▼このようなビジネス書が役立つかどうかは結局読者の意識次第で、私にとっては猫に小判であることは分かっていて…

世界の食卓から社会が見える/岡根谷実里

世界各地の家庭に滞在して一緒に料理し、料理から見える社会や暮らしを伝える「世界の台所探検家」。 決めつけない、しなやかな考え方が、好ましい。 伝統食が政治や企業活動によって作られたイメージであることがよくある(ブルガリアヨーグルト) 安全性、文…

進化的人間考/長谷川眞理子

我が国の進化心理学の第一人者による分かりやすい概説。 昨今は、性差についての研究は、性差別の問題と密接に関連するが故に議論が感情的となり、研究自体も減少しているという。人間の性差について客観的な評価は可能であり、研究者が偏見を持っていたとし…

暇と退屈の倫理学/國分功一郎

人々は豊かになって暇を得たが、文化産業が人々に産業に都合のいい楽しみを提供し、労働者の暇を搾取している。これは人が退屈を嫌うから。なぜ人は暇の中で退屈してしまうのか。暇の中でいかに生きるべきか、退屈とどう向き合うべきか(暇と退屈の倫理学)。 …