2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧
「火の粉」もそうですが、ぐいぐいと引き込む力のある文章だと思います。ただやはりなんだか作り物臭さというか、あざとさを感じてしまいます*1。 犯人に告ぐ〈上〉 (双葉文庫)作者: 雫井脩介出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2007/09/13メディア: 文庫購入: …
死の五段階(否認と孤立、怒り、取引、抑鬱、受容)は、おぼろげながら知っていました。だんだん年をとってくると、切実というほどでないものの、それなりに自身どうだろうかと考えてしまいます。これも一つの準備作業になるでしょうか。 死ぬ瞬間―死とその…
明治30年代、サンスクリット経典の原型をとどめるチベット経典を求めて鎖国チベットに潜入した著者の旅行記です。100年前の単独ヒマラヤ越えはただでさえ過酷であろうことは想像に難くないのですが、鎖国をしている国に潜り込むために間道を抜けようとするた…
重松清がコーディネーターとなって1年間にわたり朝日新聞に掲載された紙上読書会をまとめたものです。ネットでときどき読んでいました。取り上げられた本は、斜陽、楢山節考、あ・うん、坊っちゃん、俘虜記、おとうと、砂の器、ノラや、銀河鉄道の夜、雪国、…
筆致なども含めて男性には絶対に書けない小説だと思います。川上弘美にしか書けないといえば、身も蓋もないかもしれませんが。 良い小説を読んだ後は、何か書いておこうという気がしなくなります。つまらない本にケチをつけるようなことばかり書くのは考えも…
奥付けによれば1989年(平成元年)初版で、98年で43刷ですから、結構なベストセラーないしロングセラーですね。ブックオフで平積みされていたのですが、全く知らない本でした。 1989年ですからバブル期に書かれたものですが、いま読んでもそれほど違和感はあ…
客観的に記述されうる環境とは異なる、特定の主体が主観的に作り上げた「環世界」とは? 専門用語の聴きなれない訳語(最遠平面とか、歩尺とか)が厄介です。 生物から見た世界 (岩波文庫)作者: ユクスキュル,クリサート,Jakob von Uexk¨ull,日高敏隆,羽田節…
叙述トリックというやつだとは思いませんでした。この手のはダメなのです。 弁護側の証人 (集英社文庫)作者: 小泉喜美子出版社/メーカー: 集英社発売日: 2009/04/17メディア: 文庫購入: 11人 クリック: 42回この商品を含むブログ (73件) を見る
スゴ本100から。環境を、平和を考える写真集。池澤夏樹、レヴィ=ストロースらが寄稿している。 百年の愚行 ONE HUNDRED YEARS OF IDIOCY [普及版]作者: 池澤夏樹,アッバス・キアロスタミ,フリーマン・ダイソン,鄭義,クロード・レヴィ=ストロース,小崎哲哉…
様々な分野の専門家による中国に関する分析、提言。 中国という国は、一党独裁なので、党と国の二重権力的な構造が分かりにくい。人民解放軍は、党の軍隊だというのは、言われてみれば確かに異様なことだ。 国家財政に支えられながら、いまだに「党の軍隊」…
巧妙などんでん返しなども含めてのプロットの面白さ、最後に人質としてそれまでの登場人物が集まる構成の面白さ、そして人情味あふれる物語そのもののすばらしさ。エンターテインメントの神髄だと思います。 昭和53年刊、文庫初版は、55年のようです。 十二…