1980年代前半、ジャパンアズナンバーワンなどと言われた頃、4年半にわたる著者のウィーン留学記。
「うるさい日本の私」の闘う中島義道はこの頃から変わらない。というか、氏を形作った(あるいはその闘う姿勢を強化した)のは、ウィーン留学経験であったのか。
当時のウィーン人(西欧人)の日本人に対する差別意識や、非を認めず理屈なく反ぱくする態度、夜郎自大というか自分勝手な振舞いなどに驚き、怒り、その非を指摘し、反論していく。日本人は物事を丸く収めることばかり考えて、平等についての感覚が麻痺し、対等な議論を避けているのではないか。
そのエピソードの一つ一つが異文化体験というレベルを超えて結構衝撃的。40年ほど前という時代背景もあるだろうが。