HONMEMO

読書備忘録です。

2013-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ボヴァリー夫人/フローベール

1857年の刊行ということで、日本でいえば幕末頃の作品。比較的裕福な田舎の農家の娘エンマは冴えない医者ボヴァリーに嫁いだが、不倫を重ね、借金まみれになって…というあらすじは知っていたが、夫人の末路は知らなかった。 山田ジャク訳。解説は、蓮實重彦…

ロジカルな田んぼ/松下明弘

著者は、様々工夫しながら、有機・無農薬で山田錦をはじめコメ9町歩を作ったり、新品種を登録したりする自称「稲オタク」。 なぜこのような農法がうまくいくのか、いろいろと説明はあるのだが、生命力なんていうことを持ち出されてなんだかよく分からなくな…

ファスト&スロー/ダニエル・カーネマン

心理学、行動経済学の古典となるであろう一冊。実験事例も多数掲載されていて、楽しく読める。 合理的経済主体(エコン)を前提とするリバタリアンに対し、「ヒューマン」を前提とする行動経済学者セイラーらはリバタリアン・パターナリズムの立場をとる。リ…

舟を編む/三浦しおん

かみさんの本棚から。 ものに打ち込むことのさわやかさ。 舟を編む作者: 三浦しをん出版社/メーカー: 光文社発売日: 2011/09/17メディア: 単行本購入: 11人 クリック: 1,184回この商品を含むブログ (283件) を見る

宿澤広朗 勝つことのみが善である/永田洋光

ラグビー日本代表監督などを歴任、トップリーグの設立に尽力する一方、三井住友銀行の執行取締役として頭取にとも目されていた宿澤広朗の伝記。急逝されたのが本当に惜しまれる。トップリーグの成功と、日本で開催されるワールドカップで、日本が氏の言う意…

ハチはなぜ大量死したのか/ローワン・ジェイコブセン

何年か前、日本でもハチがいなくなったと騒ぎになった。その少し前、アメリカ・欧州でも蜜蜂が姿を消していた。Colony Collapse Disorder(CCD)と呼ばれるその現象の原因を、農業の実情から詳細に解説するノンフィクション。 原因は今でも必ずしも科学的に明…

ウーマンアローン/廣川まさき

第2回開高健ノンフィクション賞受賞作。著者がアマゾンならぬユーコン川を一人で下り、新田次郎「アラスカ物語」のゆかりの地、人を訪ねる旅行記。 冒険物語でもあるのだが、比較的あっさりしていて、そこが良いところでもあるのかもしれない。 アラスカ物語…

創られた「日本の心」神話/輪島裕介

副題は、「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史。 「演歌」とは、「日本固有」の「伝統的」な表現ジャンルではなく、昭和40年代以降、レコード歌謡の製作スタイルの大転換の過程で「時代遅れ」とみなされるようになった古いタイプのレコード歌謡を「演歌」と呼んだ…

中国「反日デモ」の深層/福島香織

尖閣問題を契機とする中国での反日デモは、中国指導部による「動員」と言ってもよい側面も持つが、第2代農民工の格差問題などからくる不満の爆発という形でコントロールが効かなくなるという危険性を持つ。 しかし、デモをする方にも、許す当局側にも「反日…

海軍主計大尉小泉信吉/小泉信三

慶應義塾の塾長であった小泉信三による戦死した息子信吉のメモワール。おおよそ30年ぶりの再読。 出征に当たり、著者は、息子信吉あての手紙に次のように書く。 君の出征に臨んで言って置く。 吾々両親は、完全に君に満足し、君をわが子とすることを何よりの…