2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧
著者は、元TBSアナウンサーで、菅直人元首相の要請で官邸に入り、広報担当の審議官として働いた。その経験を踏まえて考えたことを語りかけるような飾らない文体で綴っている。 「お任せ民主主義」からの脱却 市民の側も、自分たちが選んだ政治家を支える意識…
なつかしいNHKの同名ドラマの原作者は、なんと新田次郎だったんだ。もうドラマの内容はすっかり忘れていたけれど、中島京子の解説によれば、NHK少年ドラマシリーズ屈指の名作と言われているらしい。「新潮少年文庫」の一冊として書き下ろされたものというこ…
「上から目線」が問題とされる時代になったとか、価値観の多様化、困難な時代の中で会話のテンプレートが失われたとか、日本語の構造と上から目線の関係とか、私にはなんだか論旨がもう一つストンと了解されなくて、なんだか。 「上から目線」の時代 (講談社…
夏目漱石、宮武外骨、南方熊楠、幸田露伴、正岡子規、尾崎紅葉、斎藤緑雨*1の7人は慶応3年生まれ(翌年が明治元年)。豪華メンバーの歩みを、時代背景と共に描く。面白すぎ。日清戦争直前までで終わったのが残念。 子規の新聞小説「一日物語」の謎の女は、…
1962年初版のロングセラー。 ビルマ南部で終戦を迎え、英国軍の捕虜として収容所で2年にわたり強制労働の日々を送った記録。 イギリス人は士官と兵とで階級社会を反映した大きな違いが見られ、また、日本人を家畜同様にみている。いかな捕虜であるとはいえ、…
1970年に書かれたものを「風立ちぬ」公開に合わせて復刊・文庫化したもの。 技術開発は、厳しい現実的な条件の中で、既成の考え方を打ち破る発想で、当然に考えられるぎりぎりの成果をどうやって一歩抜くかを考えることであり、零戦ほどそのような考え方が象…
3・11直後に書かれた「世界を知る力」の続編。親鸞の他力本願とは、3・11のような圧倒的現実に直面し人間の無力を自覚してはじめて腑に落ちるものであり、また自力でとことん努力を積み上げたうえで了解されるもの。今や痛烈な反省の意識をもって近代主義、…
醜い日本の私でもうるさい日本の私でも本書でも氏の思想は変わらない。あたりまえだ。 当人がどんな思想をどれだけ自分の固有の感受性に基づいて考え抜き鍛えぬいているかが決め手となる。つまりその労力に手を抜いている人は嫌いなのです。 一番手抜きがし…
2003年上梓、手元のものは09年23版というからロングセラー、先ごろ読んだ「日本のデザイン」の先行著作。デザイン論であり、日本論。 「これがいい」でなく、「これでいい」のレベルをできるだけ高くすることが重要。 日本人の持つ自己を世界の中心と考えず…
梅原猛による古事記の現代語訳。若干の解説と短い「古事記論」というおまけつき。やはり、おまけの部分が面白く、このあたりのまとまった論文があるなら読んでみたい。 古事記 増補新版 (学研M文庫)作者: 梅原猛出版社/メーカー: 学研パブリッシング発売日: …
何十年か振りの再読。かつて、近代米国の小説ということで、お気楽な娯楽本という先入観の下で読んで、退屈な本という印象だった。今回村上春樹絶賛本ということで読むと印象がずいぶん違うというのも情けないといえば情けないが、私自身の読書の嗜好が相当…
厭味なというか正直なというか、好きになれない文体ではあるけれど、共感できる点も結構ある。 「米国からの要求(日米構造協議)に応じた結果、日本の<生活世界>の相互扶助で調達されていた便益が、流通業という<システム>にすっかり置き換えられ、個人…
MWA,CWA賞、このミスなどで最高の評価を受けているということで読んでみた。解錠師というタイトルから、ひょっとして私の苦手ないわゆる本格ミステリー(密室もの)かと思ったが、全くそんなことはなくて、さわやかな青春小説として楽しめた。 解錠師 (ハヤ…
元連邦捜査官と犯罪心理学者、法医学アーティストの3人が中心となって設立した迷宮入りした犯罪の再捜査コンサルティングを行う組織「ヴィドック・ソサエティ」の活動。 アメリカのTVショー「アメリカズ・モスト・ウォンテッド」なんかをうまく使って(使わ…