HONMEMO

読書備忘録です。

2006-01-01から1ヶ月間の記事一覧

東京珍景録/林望

リンボウ先生による“路上観察”。イギリスもの以外のエッセイは初めて読むが、リンボウ先生のものらしく、手堅く楽しめる。赤瀬川原平ほかの路上観察学入門も一緒に買っているので近いうちに読むつもり。弦巻の配水塔って今でもあるのかな。 東京珍景録 (新潮…

糸井重里の「有頂天ホテル」評

ほぼ日の今日のダーリンにあった糸井重里の「有頂天ホテル」評が鋭い。 「(有頂天ホテルは)世界初の「ヅラ映画」の誕生である、と。ヅラの種類、ヅラの使い方、ヅラのキャスティング、すばらしかったです。 唐沢寿明さんに代表される頭の上のものだけでな…

ナポレオン狂/阿刀田高

短編小説の名手と言われる阿刀田高の直木賞受賞短編集。表題作のほか、「来訪者」、「恋は思案の外」、「甲虫の遁走曲」など13編。背中をゾゾゾッとさせるオチの切れ味がもの凄く鋭いのだけれど、まさにそのどんでん返しを楽しむ小説という感じで、深みに欠け…

ほぼ日の対談

ほぼ日刊イトイ新聞での川上弘美と糸井重里の対談終了。まあまあって感じ。川上弘美ってこんな可愛らしい感じだったっけかなんて思ふ。アーヴィングは以前から気になっていながら読んでいない作家。「香水」というのも何やら怪しげで面白そう。あとは「安心…

さようなら、ギャングたち/高橋源一郎

ううむむむ。まあ村上春樹もワケ分らんといえばワケ分らんところもあるのだが、こりゃあ輪をかけて分らんちんではある。吉本隆明がポップ文学の最高の作品だと絶賛したということだ。また、吉本は、この作品を、村上春樹、糸井重里、村上龍、筒井康隆らを無意…

白夜行ミリオンセラーの残酷

TVドラマのおかげで、東野圭吾「白夜行」がまた売れているとか。ついさっきAmazonで3位だった。結構なことだが、ドラマの初回をみる限り、ドラマをみてから小説を読んだのでは、その面白味は半減するだろう。TVドラマとしては、倒叙法的手法かつ雪穂と亮司の…

流れる星は生きている/藤原てい

新田次郎の妻、藤原正彦の母である藤原ていによる満州からの引揚げを記したノンフィクション(あるいは私小説)。戦後のベストセラーだそうだ。ここ1年程で何だか急に涙腺が弱ってしまったようで、困ってしまう。中国からの引揚げやシベリア抑留などを描いた…

わが上司 後藤田正晴/佐々淳行

佐々氏の著作は、東大落城、連合赤軍「浅間山荘」事件など何冊か読んでいるが、この本も著者の人間的魅力と小気味いい文章で楽しく読む(自慢話みたいで鼻持ちならんと感じる部分もないではないけれど、なんか憎めない)。後藤田は、防衛問題については、ハ…

ALWAYS 三丁目の夕日

何やら巷の評判が良いとのことで、大して期待せず、かみさんに引きずられて見に行く。昭和33年の東京の庶民の生活を切り取ったもの。私は、団塊の世代である一平たちより一回りほど下になるのだけれど(33年には生まれていない)、それでもこの映画の持つ空気…

芥川賞・直木賞

もう旧聞に属するけれど、備忘録としては、受賞者などをメモしておかないと役立たずになるというもの。リンクだけだとリンク切れもあるので、一応メモメモ。芥川賞は、絲山秋子「沖で待つ」、直木賞は東野圭吾「容疑者Xの献身」と。本命というか、メッタ切…

本屋大賞ノミネート発表

www.hontai.jp – このドメインはお名前.comで取得されています。 『県庁の星』桂望実(小学館) 『告白』町田康(中央公論新社) 『サウスバウンド』奥田英朗(角川書店) 『さくら』西加奈子(小学館) 『死神の精度』伊坂幸太郎(文藝春秋) 『その日のま…

老人力/赤瀬川原平

1998年にベストセラー、社会現象的売れ方をした本のようなのだけれど、全く知らなかった。この本は、続編を含めて一冊にまとめて文庫にしたものだけれど、ベストセラーをちょっと落ち着いてから読むというのも乙なもの。 まあ私もだんだんと、「ほらアレアレ…

日本語テスト

ATOKの日本語テストとやらをやってみた。ATOK presents 第一回全国一斉!日本語テスト 72点・・・とほほ。

清水義範講演

先日の清水義範の講演は、読売新聞の仕掛けによるもので、記事になっていたので、貼り付けておく。 お知らせ : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

清水義範講演「パロディーで文学はつながっている」

青山学院大学のホールで清水義範の講演を聴く。有頂天ホテルの後では清水義範のユーモアもちょっと見劣りがしてって感じもあったけれど、1時間半位かな、まあまあ楽しく聴く。無料だったし。 青学の学長挨拶*1とか、ゼミの教授の質問とかももうちょいと何か…

有頂天ホテル

あ〜面白かった。絢爛たる俳優陣、緊密なプロット、言うことなし。これまでの三谷幸喜作品の中でも最高傑作では?

旅行者の朝食/米原万里

「旅行者の朝食」というタイトル自体に「へぇ〜」がこめられている。「暇つぶしに」というと詰まらない読み物のことになってしまうのだが、優れたエッセイは最高の暇つぶしになる。う〜む。誉めたことにならんかな、誉めてるんだけど。 旅行者の朝食 (文春文…

東京物語/奥田英朗

予備校に通うために上京してから30歳になるまでの自伝的小説。奥田英朗は、私とほぼ同世代なので、時代の雰囲気を共有できて懐かしくもある。ユーモアとペーソス溢れる楽しい青春物語。 東京物語 (集英社文庫)作者: 奥田英朗出版社/メーカー: 集英社発売日: 2…

東京奇譚集/村上春樹

久しぶりの村上春樹。やはりいい。私にとっての村上春樹は、「風の歌を聴け」から「1973年のピンボール」、「羊をめぐる冒険」までが最も鮮烈で、バブル期ちょい前という学生時代と重なる。今また何となくバブリーな雰囲気も漂うようになっているのだけれど…

クワイエットルームにようこそ/松尾スズキ

私は、この小説の意図する所なり良さを人に説明するだけの能力を持ち合わせていないけれど、芥川賞の候補となるだけのものではあるのだろうと思う。 冒頭の強烈なゲロ話自体もさることながら、その文章も さらに馬鹿をきわだてているのは、客席に、パラパラ…

メッタ切りのお二人による芥川賞・直木賞受賞予想

恒例の大森望・豊崎由美のお二人による予想がNIKKEIBPで。11日には候補作の論評も出るとか。 芥川賞・直木賞の受賞作を「メッタ斬り!コンビ」が予想 - トレンド - nikkei BPnet 昨日、松尾スズキの「クワイエットルームにようこそ」を衝動買いしてしまった…

パニック・裸の王様/開高健

開高健って、恥ずかしながらはじめて読む。私が生まれる前に上梓された芥川賞受賞作「裸の王様」など4つの短編集。表題に取られている2編がとてもいい。 「パニック」は、鼠の大発生によるパニックの中での小役人の主人公の、まさに「人間」が描かれている…

芥川賞・直木賞候補発表

お知らせ : YOMIURI ONLINE(読売新聞) 話題は松尾スズキの芥川賞ノミネートでしょうね。正月に「イン・ザ・プール [DVD]」を借りてきて彼の怪演を感心してみたけれど、精神病院を舞台とする候補作「クワイエットルームにようこそ」は彼が精神科医伊良部を…

本格小説/水村美苗

長編小説の魅力を満喫した。ただ「本格小説」ってタイトルはいただけないし、損だと思う*1。 この小説はブロンテ「嵐が丘」へのオマージュというところがあるらしいのだけれど、私は「嵐が丘」を読んでいないのでよく分らない。ただ、谷崎潤一郎「細雪」とか…