HONMEMO

読書備忘録です。

2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

女たちのシベリア抑留/小柳ちひろ

NHKのドキュメンタリーの取材をもとにまとめたもの。 女性抑留者には、看護婦や電話交換手、中には芸者などもいて、看護婦として働いたり、極寒の中を畑仕事をさせられたり、あるいは囚人として矯正労働をさせられたり。男性と同様の重労働は課せられないよ…

地形の思想史/原武史

タイトルは、分からなくはないが、大きすぎというか。それぞれあるテーマをもとにして、ちょっと地形にも絡めて、色々と考える旅行記という感じ。 ・「岬」 現上皇が皇太子時代に夏を過ごした浜名湖のプリンス岬のこじんまりとした保養所での日々は、当時の…

ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと/奥野克己

ボルネオ島に暮らす狩猟採集民族プナンは、反省しない。 プナンでは、寛大な心で与えられたものを最も頻繁に分け与える人物がビッグマンとして尊敬される。彼自身は最も質素。 プナンは、個人所有を前提として貸す、借りるということがなく、共有することが…

「悟り体験」を読む/大竹晋

第1部で宗派別などに整理して悟り体験を見ていき、第2部で分析、考察。 大乗仏教において悟りとは、真如(法無我=もろもろの枠組みに我(確かな自己)がないこと=仏性)の実見=見性である。 悟り体験は、次の5段階から構成されるという。 1 自他忘失体験〜通常…

籠の鸚鵡/辻原登

クライムノベル3部作の一つだそうだ。公金横領事件や暴力団抗争など実際の事件をモデルにしていて、いかにも通俗的なエンターテイメント小説の趣。ただ、ほとんどポルノといっていい手紙や、熊野の山岳信仰や補陀落信仰などの背景、籠の鸚鵡のようなカヨ子が…

アフリカの難民キャンプで暮らす/小俣直彦

著者は、オックスフォード大学難民研究センター主任研究員。ロンドン大学で博士号取得のため必要な「難民の経済生活」調査のため、2008年にガーナのリベリア難民キャンプに入り、1年余を現地ブジュブラムで暮らす。 難民が受け入れ国に滞在する期間は平均で2…

スペイン巡礼/渡辺孝

日銀から地方国立大教授、私大理事長を歴任した著者のスペイン巡礼記。スペイン巡礼に行こうという人には参考となるところもあろう。 スペイン巡礼 緑の大地を歩く 作者:渡辺 孝 発売日: 2019/04/24 メディア: 単行本(ソフトカバー)