HONMEMO

読書備忘録です。

アフリカの難民キャンプで暮らす/小俣直彦

著者は、オックスフォード大学難民研究センター主任研究員。ロンドン大学で博士号取得のため必要な「難民の経済生活」調査のため、2008年にガーナのリベリア難民キャンプに入り、1年余を現地ブジュブラムで暮らす。

難民が受け入れ国に滞在する期間は平均で26年(ブジュブラムも20年程)となっていて、「長期化した難民状態」が難民支援の現場における難題となっている。長期化によって援助が減少、経済的な自立が求められるが、一方でキャンプ外での活動には労働許可証取得が事実上困難であったり、リベリアでの医師、教師等の資格等が認められないため新たに取得しなければならないといった制約があるほか、銀行口座も開設できず融資も受けられない、マーケットでの商売からも事実上排除されているといった様々な問題がある。したがって、多くの難民は初期投資のかからない水や果物の販売を生業とし、極めて厳しい生活をおくっている。一方、豊かな人の多くは海外からの送金がある人で、格差の問題もあるが相互扶助のネットワークはあって、外に対する団結力は強い。

UNHCRの難民をなくす手段としては、本国帰還、避難先定住、第三国定住があるが、難民に人気の第三国定住は極めて狭き門であり、また、本国帰還、避難先定住いずれも難民や受け入れ国それぞれの事情があって簡単ではなく、UNHCRの支援も場当たり的なものとなりがちである。

著者の意図するとおり、そのような中で真剣に生きる難民の等身大の姿を知ることができる。

本書はAmazonでは販売されていないようだ。

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