2024-10-01から1ヶ月間の記事一覧
取り上げられるのは、田園調布、成城、山王、洗足、奥沢、桜新町、荻窪、常盤台など。 デベロッパーの構想、住人の属性などによって街の性格やイメージが異なってくる。ターゲットは「中流階級」といっても当初からかなりの高所得層。 じめじめした下町から…
国家の繁栄の格差の原因の4分の1は、社会の多様性に起因する。同様に地理と気候の特性が5分の2、病気の蔓延しやすさが7分の1、民族や文化の要因が5分の1、政治制度で説明できるのが10分の1であるという。多様性は高ければ高いほど繁栄するということではなく…
町田康による山頭火の文芸評論・評伝。山頭火に見る「人間のどうしようもなさ」を我が事のように感じるという町田康だからこその、真に迫る最良の山頭火評ではないだろうか。「山頭火の句は、完成した三昧境から生まれる神韻縹渺とした句ではなく、重い荷物…
「22世紀の民主主義」「人新世の「資本論」」「ソーシャル・ジャスティス」という話題の新書3冊のさわりを著者本人がちきんと説明するものとなっているので、一冊で3度美味しいお得な本。私のように3冊とも読んでいる人は小島氏の著作を読んだ方がいいかもし…
辻原登による陸奥宗光半生の評伝。 陸奥宗光といえば不平等条約改正に尽力し、日清戦争の開戦指導をした外務大臣(伊藤博文は消極的だったが陸奥は積極的だった。また三国干渉の受入れを主張)だが、その活躍については最後に触れられる程度で、それ以前、政府…
戦争は、「将来の危険」と「現在の犠牲」とのトレードオフにより、紛争原因の根本的解決と妥協的和平の間のどこかで終結する。為政者はこれらを散々考慮して出口を探るのだが、将来の危険を正しく見通すことは難しく、また政治状況は変数が多いから、その相…
民芸の主導者の一人河井寛次郎のエッセイ。美の感動は、結果としての製品ではなく、直接には物とは縁遠い背後のものからもたらされるものだと。冒頭の短い文章では、南山城の部落(集落)の家や道、田圃などそれぞれの、またその総体の美しさに感動し、「化物…