HONMEMO

読書備忘録です。

2006-02-01から1ヶ月間の記事一覧

藤田嗣治「異邦人」の生涯/近藤史人

藤田嗣治といっても、私には、黒田清輝あるいは佐伯祐三、荻須高徳、小磯良平なんかと十把ひとからげにして「巨匠」というイメージしかなかったのだけれど、かつて全く違った負のレッテルを貼られた人だったということを初めて知った。パリのサロンでの奇矯な…

パレード/吉田修一

男女4(5)人のマンションでの共同生活。今時の若者のちょっとダラッとした(?)生活がビビッドにユーモラスに描かれる。章ごとに5人それぞれの視点で語られる中で、それぞれが表面には出さないけれども重く引きずってきたものが共同生活に変化を及ぼして…

ベトナム戦記/開高健

1964末〜5年初頭にかけてのベトナム戦争*1ルポ。戦争の虚しさとかもあるだろうが、眼前で人が殺されるという体験は、凄まじいものであろうと・・・。輝ける闇、夏の闇という開高健の傑作といわれる書を読む前にと思って、読んだのだが、これだけでも十分だとい…

ボクの音楽武者修行/小澤征爾

私が生まれた頃(1960年前後)、25歳前後の小澤が単身欧州に渡り、指揮者として頭角を表わすに至る頃の自伝的エッセイ。帰国直後の61年、26歳当時に書かれたものということで、文体が、当時人気だっただろう若き石原裕次郎を気取ったような感じがして、何やら…

まれに見るバカ/勢古浩爾

「ああ、顔文不一致」がなかなか面白かったので、ブックオフにて目に止まり購入。まあ、オヤジの遠吠えってなところではあるのだが、おやぢである私には結構共感できて、楽しく読んだ。著名人バカであげつらわれる小室直樹、宮台真司などなども、(私は彼らの…

小泉政権を揺さぶるBLT〜立花隆

立花隆のnikkeibpのコラムは、毎度なかなか面白い。小泉政権揺さぶるBLT問題 防衛庁・ライブドア・天皇制 BLTってのは外国人記者クラブがつけたってことかな。なんだかムリムリという感じだが、耐震偽装っていうのは何でTなんだろ(Taishinってのもなんだかな…

芥川賞選評など文藝春秋立ち読み

文藝春秋を立ち読み。芥川賞の選評。石原慎太郎は、個別の評に立ち入らず、最近の新人の作品は全然ダメってな感じで、ハア左様でございますかって感じ。宮本輝は、松尾スズキ「クワイエットルームにようこそ」を推していた。へえ。 このほか、坪内祐三の見開…

ドラマ「光抱く友よ」

TV

高樹のぶ子の芥川賞受賞作「光抱く友よ」を原作としたドラマをちらちらと見た。原作になかなか忠実に作られていて、一所懸命、真面目に作っているなあという感じはしたけれど、つまらない。時代を現代に持ってきたことにもやや無理がある気もするし、元来、…

蝿の王/ウィリアム・ゴールディング

ノーベル賞作家の名作とされる書。暗黒の十五少年漂流記といった趣。 内なる悪魔(蝿の王)の恐ろしさとそれを認識するサイモンの悲劇・・・ (サイモン)「ぼくがいおうとしたのは・・・たぶん、獣というのは、ぼくたちのことにすぎないかもしれないというこ…

国家の罠/佐藤優

自己正当化のための事実の歪曲やディスインフォメーションに対する警戒感というか不信感があってどんなものかと思っていたのだが、真面目に書かれた本ではあるのだろう。 日本では諜報員というものを組織的に育成しておらず、またそのような存在を利用した外交…

本の雑誌ベストテン

本の雑誌社のノンジャンルベストテン、文庫ベストテン。1989年(文庫は2001年)からのバックナンバーもあって参考になる。このベストテンって結構ハチャメチャな決め方をしているんだよな、たしか。だからどうだというわけではないけれど。

悪女について/有吉佐和子

変死した成り上がりの女富小路公子について、関係者27人へのインタビューという形で、その「悪女」ぶりを浮かび上がらせる。27人のうち、公子を悪女だといっている人間は比較的少ない。特に男は、最初の夫(?)渡瀬義雄のほかは、彼女を悪く言う男はほとん…