HONMEMO

読書備忘録です。

2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ジェンダー格差/牧野百恵

ジェンダー格差についての実証経済学、すなわち統計学を使って因果関係(≠相関関係)を厳密に示すエビデンスを提供する研究を紹介するもの。 因果関係の証明は結構大変で、相関関係を因果関係と見誤ってエビデンスと捉えると政策の方向性を間違えかねない。 男…

科学と資本主義の未来/広井良典

著者によると、本書は、社会システム、制度・政策論中心の「人口減少社会のデザイン」、哲学的、思想的考察中心の「無と意識の人類史」に続く、両書を架橋する書としての3部作の最終作。前2作を読んだ者には、その著者の考え方を確認し、また理解が深まるも…

自由からの逃走/エーリッヒ・フロム

学生の頃読んだような気がするが、書棚に飾っただけだったか?今回も一応読んだが、きちんと読んだとは言えない。 中世の桎梏を脱して自由を得た市民は、その孤独・無力に耐えられず、自由から権威主義(=サド/マゾ)へと逃走、ナチスを産む(乱暴なまとめ)。 …

ワンルームから宇宙をのぞく/久保勇貴

若いJAXA研究者によるブログをもとにしたエッセイ。ワンルームでの私生活のつれづれに宇宙機制御工学や物理、天文などのエピソードを絡めた優しい文章。読んでいてこちらが赤面するようなラブレターのようなものや宇宙飛行士選抜試験に落ちた赤裸々な心情な…

日本のカルトと自民党/橋爪大三郎

タイトルはややミスリーディング。本書は、カルトに限らず宗教団体とその政治行動(信者の投票行動)の問題点を指摘するもの。主に取り上げられるのは、統一教会のほかは、生長の家/日本会議、創価学会/公明党であって、これらは著者の定義からしてカルトとは…

イラク水滸伝/高野秀行

世界古代文明(シュメール)揺籃の地にほど近いチグリス川とユーフラテス川の合流する辺りは、アフワールと呼ばれる広大な湿地帯になっていて、騒乱のたびに人々が逃げ込むアジールでもある。今でも政府勢力の影響力が及びにくく、情報も少ない謎の地域で、安…

地霊を訪ねる/猪木武徳

著名な経済学者による紀行エッセイ。友人(研究者)とともに、鉱山跡地を中心に産業遺産や名所旧跡なども含めて、全国を旅した記録(著者は温泉好きのようで、宿泊先は秘湯と言われるような温泉宿も多い)。 巻末に人名索引があるのも、本書のようなエッセイでは…