HONMEMO

読書備忘録です。

地霊を訪ねる/猪木武徳

著名な経済学者による紀行エッセイ。友人(研究者)とともに、鉱山跡地を中心に産業遺産や名所旧跡なども含めて、全国を旅した記録(著者は温泉好きのようで、宿泊先は秘湯と言われるような温泉宿も多い)。

巻末に人名索引があるのも、本書のようなエッセイでは異例だと思うが、言及される人名の数は、ざっと500近い。

同じ旅をするのでも知識・教養の蓄積(+下調べ)があると、見えるもの、響くものの幅が違う。教養人の旅は豊かで、またその旅によって、更にその人の豊かさを広げるのだな、と本書を読むと実感させられる。

「人、本、旅」と言ったのは出口治明(本書によればそれ以前に池島信平故元文藝春秋社長が同旨のことを言っていたようだ)だが、その趣旨のよく分かる書でもある。