HONMEMO

読書備忘録です。

2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧

オールドレンズの神のもとで/堀江敏幸

2004年〜2015年頃にかけて、さまざまな求めに応じて発表された小編18編。 「私の場合、執筆の動機はつねに注文であり、言葉の自発性はそのあとからついてくるので、いったん作品ができあがると出発時の負荷がなくなって、なぜこんな書き方をしたのか理解でき…

「歴史の終わり」の後で/フランシス・フクヤマ、マチルデ・ファスティング編

フクヤマの業績を網羅的に取り上げ、対話形式で平易に提示する書。「歴史の終わり」は趣旨は知っていたが未読だったので読むかどうか迷ったが、同書を読まずとも私には本書で十分かな。 ・権威主義的政府を倒すことができても、民主主義的制度を実際に立ち上…

モンテレッジオ 小さな村の旅する本屋の物語/内田洋子

イタリア北部の山の中の過疎の村モンテレッジオ(現人口32人)は、多くの人が本の行商で生計を立ててきた歴史を持つ。重いし、誰にでも売れるというものでもない「本」を担いで売り歩く?そういう面ももちろんあったのだろうが、基本的には都市に出て露天商と…

パキスタンへ嫁に行く/わだあきこ

著者は写真家。1995年の上梓。 パキスタン北西部、アフガニスタン国境に近いヒンドゥークシ山脈に抱かれた谷に暮らすカラーシャ族の祭りなどその習俗を取材するうちに半分現地で暮らすようになり、現地の人と結婚。 カラーシャ族の人々は、非イスラムで独自…

新冷戦時代の超克/片山杜秀

2018年の口述をもとにした本。 日本にとってのリアルな問題は、憲法より日米同盟。集団的自衛権が解釈でOKになって、憲法改正の必要性は低下。むしろ改憲案が国民投票で否定されたら自衛隊の否定に繋がりかねないという危険な賭け。中国に対しても米国に対し…