HONMEMO

読書備忘録です。

モンテレッジオ 小さな村の旅する本屋の物語/内田洋子

イタリア北部の山の中の過疎の村モンテレッジオ(現人口32人)は、多くの人が本の行商で生計を立ててきた歴史を持つ。重いし、誰にでも売れるというものでもない「本」を担いで売り歩く?そういう面ももちろんあったのだろうが、基本的には都市に出て露天商として本を扱う人々だったようだ。取次、出版に乗り出す者や露天から書店として定着し、有名店として名を馳せるものも。村の人々はその生業を誇りとし、今でも年に一度帰省して本の夏祭りを開く。イタリアの本屋大賞のような「露天商賞」の発祥の地でもある(第1回1953年の受賞作はヘミングウェイ老人と海)。コロナ禍の中で、コミック賞も立ち上げたとか。

写真が素晴らしく、紀行ものとして楽しい。ヨーロッパの街の佇まいには心惹かれる。