HONMEMO

読書備忘録です。

2007-06-01から1ヶ月間の記事一覧

内田センセ面目躍如

内田樹の言説については、いろいろあるのだろうけれど、今日のhttp://blog.tatsuru.com/2007/06/27_1049.phpなんかの面白さは面目躍如、真骨頂と言うべきだろうな。 憲法9条について、 『あれは、よく考えたら、国際関係における「めちゃモテぷっくり唇」な…

愛国の作法/姜尚中

愛国は、愛郷の延長にあるものではないというのがポイントでしょうか。 石橋湛山が靖国廃止論を言っていたというのは知らなかった。 ハンナ・アーレントの入門書ってのはないのかな。 愛国の作法 (朝日新書)作者: 姜尚中出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: …

危機と克服 ローマ人の物語21〜23/塩野七生

ネロの自殺(68年)後、五賢帝までの約30年間の物語。 69年1年間にガルバ、オトー、ヴィテリウスと3人の皇帝が暗殺あるいは自殺に追い込まれるという異常事態。健全な常識人と評されるヴェスパシアヌス帝が継ぐ。その息子ティトゥスはポンペイの災害等にきち…

遊動亭円木/辻原登

表題作ほか10編の連作短編。ちょっと粋で、ちょっと不思議、ちょっと怖い…。味わい深い物語だけれど……きちんと読めていないな。またいずれ読み直したい。 遊動円木って昔はよくあったけど、今はほんとに見なくなったな。 谷崎潤一郎賞受賞。解説は堀江敏幸。…

こんな夜更けにバナナかよ/渡辺一史

筋ジストロフィー患者鹿野靖明と氏を支えたボランティアたちの現場を取材したノンフィクション。大宅壮一ノンフィクション賞、講談社ノンフィクション賞受賞。 鹿野氏とボランティアの関係は、ワガママな寅さんと“とらや”の面々にも譬えられており、そういう…

ぼっけえ、きょうてえ/岩井志麻子

表題作のほか、「密告函」「あまぞわい」「依って件の如し」の4編。山本周五郎賞受賞。京極夏彦の意味不明のつまらない解説つき。 表題作と「密告函」が正反対のスタイル(ファンタジー調vsリアリズム調)でそれぞれ恐テェ〜。 「あまぞわい」を除いて、岡山…

オレ様化する子どもたち/諏訪哲二

内田樹「下流志向」のベースとなった本の一つだが、くどくてつまらない。心理学用語がじゃまくさい。現場の先生の普通の言葉で書いた方がいいのでは? 学校には、個人としてぢゃなくて「生徒」として来いってことかな。 第二部は、宮台真司、和田秀樹、上野…

わが人生記/渡邉恒雄

ナベツネの自伝みたいなちょっと変わった作りの本。色々と悪役イメージを作られている人だし、ジャイアンツ嫌いなのでなおのこと偏見で見てしまうが、一廉の男であることは間違いないなあと。面白いのは哲学に魅せられ、共産主義運動に没入した青春時代の話…

ベネディクト・アンダーソン グローバリゼーションを語る/梅森直之

ベネディクト・アンダーソンの「想像の共同体」と言えばナショナリズム論の名著として名高く、比較的最近、その続編(?)が出て話題となっていた。興味はそそられても読むにはちょっと骨が折れそうな感じで躊躇していたので、とっつきにと思って手にとって…

ニッポン/ブルーノ・タウト

1933年から36年にかけて日本に滞在したドイツ人建築家ブルーノ・タウトの印象記。桂離宮が好き、東照宮が嫌いというのは、簡素対華美の好みということもあるが、天皇至上の時節柄でもあったからだろう。 伝統を守り伝えることと新しい文化を取り入れることの…

歯と爪/ビル・S・バリンジャー

なぜこの本を買ったのか忘れてしまったくらい長い間積んでいた。何かで面白いと紹介されていたんだと思うのだが、私には全然ダメ。解決部分を袋とじにしている本だが、そんな邪道をしないと売れないのかとひねくれた見方もしたくなる。まあ最近特に謎解き推…

照柿/高村薫

「マークスの山」以来の高村薫。野田達夫はなぜ人を殺したのか、その不条理は熱処理工場のリアリティに支えられている。合田と野田、あるいは合田と美保子の関係の訳の分らなさのリアリティがまた凄い。 それでも、高村薫は、合田刑事ものより、「黄金を抱い…

三島由紀夫賞選評

「新潮」の三島賞の選評を立ち読み。想像どおりテルちゃんはブーたれていた。パラパラ読んだ感じでは、もう選考委員を辞めるって感じだったな。実際やめた方がいいのかも。たぶん、宮本輝は、筒井康隆の対極にあって、前衛を理解して評価しようという姿勢が…

死者の書・身毒丸/折口信夫

冒頭の大津皇子のよみがえりシーンがなかなかすさまじくてよいのだけれど、藤原郎女登場以後はおそらく中途半端にしか読めていなくて、わけわからん状態。またいずれ落ち着いて読み直したい。 この本、TSUTAYAで面陳されていたけれど、客層と読者層がズレて…

山本周五郎賞と直木賞など

読売の書評サイトに山本賞についての記事。そんなに目新しい情報はないけれど、直木賞との関係が非常に強いことが改めてよくわかる*1。 この記事では、直木賞・芥川賞を後に受賞した人が9人いることが分かるが*2、逆に1988年の創設以降2004年以前に山本賞を…

花のレクイエム/辻邦生・山本容子

辻邦生は、かつて「回廊にて」とか何冊か読んだことがあって、なんだか懐かしいなと思って手にとった。月ごとに一つの花をモチーフにした掌小説と山本容子の版画からなる12編。上品な一冊。 花のレクイエム (新潮文庫)作者: 辻邦生,山本容子出版社/メーカー:…

日本の思想/丸山真男

日本の政治思想を考える場合の基本書。 基軸となる思想を持たないこと、西欧思想の流入、縦に長い布筒のような神道、国体、無責任体制、マルクス主義の意義など。 ササラ型とタコツボ型。 日本の思想 (岩波新書)作者: 丸山真男,丸山眞男出版社/メーカー: 岩…

超バカの壁/養老孟司

これまた今更ながら。半年以上積んでたかな。 仕事というのは、社会に空いた穴です。道に穴が空いていた。そのまま放っておくとみんなが転んで困るから、そこを埋めてみる。ともかく目の前の穴を埋める。それが仕事というものであって、自分に合った穴が空い…

小説日本婦道記/山本周五郎

乙川優三郎を読んだ余韻から、積読山の中から引き出して。 計11編の短編集。この本は、本当にタイトルで損をしていると思う。「女だけが不当な犠牲を払っている」という批判を浴びたのに対して、周五郎はそんなことは全くないと反論、実際そうなのだろうと思…