HONMEMO

読書備忘録です。

2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

中国行きのスロウ・ボート/村上春樹

村上春樹の最初の短編集。1980年から82年にかけて発表された表題作のほか、貧乏な叔母さんの話、ニューヨーク炭鉱の悲劇、カンガルー通信、午後の最後の芝生、土の中の彼女の小さな犬、シドニーのグリーン・ストリートの7編*1。 村上春樹は短編もいいですね…

夕暮れまで/吉行淳之介

吉行淳之介の作品は初めて読みました。解説で川村二郎が「そもそも物語は、この作品の副次的な要素以上のものではない、…」「…たしかに物語はある。しかしそれは作品の核心ではない。」と書いていますが、たしかにその核心でないところが何とも言えない余韻…

虐殺器官/伊藤計劃

SFらしい軍事テクノロジーなどはなかなか面白いのですが、ストーリーは単線的ですし、また、対話や抽象的表現などもペダンティックというより、言葉はよくありませんが、うざったいという印象で、私にはさっぱりでした。 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)作者: 伊…

海辺のカフカ/村上春樹

かみさんの本棚から。ギリシャ悲劇や近代思想を踏まえながら生と死を往来する物語です。ユーモアもあり、比較的軽いタッチでありながら、深みのある物語だと思います。 長編は、初期の3部作(長編と言ってもかなり短いですが。)と「世界の終わりとハードボ…

ゼラニウム/堀江敏幸

表題作のほか、薔薇のある墓地、さくらんぼのある家、砂の森、アメリカの晩餐、梟の館。最後の梟の館だけ日本が舞台ですが、そのほかはフランス。堀江敏幸の作品は、私には、日常のおいしいご飯のようなものかもしれません。 ゼラニウム (中公文庫)作者: 堀…

尻啖え孫市/司馬遼太郎

独立独歩、好色な自由人として描かれる雑賀孫市を主人公とした物語です。久しぶりに司馬遼太郎を読んで、司馬節が懐かしかったです。 尻啖え孫市 新装版(上) (角川文庫)作者: 司馬遼太郎出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング発売日: 2008/09/25メデ…

日本近代文学の名作/吉本隆明

近代日本文学の名作を吉本隆明が語るという新聞連載をまとめたものです。編集者2人による聞き書きをまとめたものなので、文章がヘンなところもありますが、読みやすいです。取り上げられた24人のうち、全く読んでいないのは、横光利一、保田與重郎、中野重治…

隠蔽捜査/今野敏

主人公は警察庁のキャリア課長で、不祥事を隠蔽しようとする警察組織と闘いながら、他方、息子の麻薬使用という不祥事にどう対処するかという問題に直面します。ストーリー展開にぐいぐいと惹きつける面白さがありますが、一方で、主人公のキャラクター設定…