2005-08-01から1ヶ月間の記事一覧
きんぴか〜「三人の悪党」、「血まみれのマリア」、「真夜中の喝采」の3冊。 エンターテインメント、大衆小説の真髄。実話系週刊誌って読まないのだけれど、そのノリでもある。ギャグがクサかったり、スベッたりしているところもあるけれど、それもまた浅田…
インド系アメリカ人によるO・ヘンリー賞、PEN/ヘミングウェイ賞、ピュリツァー賞などを総なめにした短編集。ピュリツァー賞って小説にも与えられるのか。ジャーナリストの賞だとばかり思っていた。 いずれの短編も、余韻深く、素晴らしい。原作では、「…
主人公「僕」(カズオ)とその息子広樹、「僕」とその親父(チュウさん)、交通事故死した橋本さんとその息子健太という3組の父と息子を通じて、重層的に父と息子の関係を描く。 親父が私の年齢の頃、私に対してどう思っていたか、今中学一年の息子が私をどう…
不思議な掌官能小説8篇。やはり言葉の選び方なんかはうまいなと思う。芥川賞作家ってのは、いろいろ言われても、この点では優れている人(作品)が多いと思う。「百年」とか「無明」などは、漱石「夢十夜」の第何夜だったか、ゆりの花が咲く印象的な物語を連…
柴田元幸による『「アメリカの鱒釣り」は、翻訳史上の革命的事件だった』という帯の惹句に踊らされて購入。カバー裏によれば、67年に上梓、藤本和子による翻訳出版が74年。世界で200万部のベストセラーとなり、ブローティガンは、カウンター・カルチャーのイ…
SFはあまり読まないが、その古典的名作として名高い本らしいので、書店で平積みされているのを見つけて購入した。 私がまだ生まれていない1957年に上梓。ハヤカワ文庫の初版が79年、05年までに56刷のロングセラーだ。 SFというかタイムトラベルも…
イデオロギッシュにあるいは政治的にしか語られない靖国神社を、社会、文化、民俗学的視点で語る極めて興味深い本だった。 靖国神社は、ディズニーランドのようなアミューズメントパークであったし、戦後もそうあらんとしていた。 九段は、明治の権力者達の…
今回の候補作はあまり良いものがなかったというのが全体的な印象のようだ。受賞作「土の中の子供」も、積極的に推したのは黒井千次だけのようだ。もう一人くらいいたかな?(手元にないので分らなくなった。)今回も山田詠美の選評が、陳腐な比喩のけなし方…
日本にも稀覯本収集家ってのはいるのだろうか。本を眺める趣味はないし、集める趣味もないのだが、初版本だからということで高値がついたりっていう稀覯本取引についての蘊蓄は、ふーんというか、メズラシイというか、理解不能というか・・・。ネロ・ウルフ…
キャハハハ・・・ ららのいた夏 (集英社文庫)作者: 川上健一出版社/メーカー: 集英社発売日: 2002/01/18メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (23件) を見る
厳しい自然の中で主人公はオオカミをどのように追い詰め、またオオカミはどのように逃げるのかといったシンプルかつ緊迫感のある小説というのを勝手にイメージしていたこともあって、TVディレクター恭子の筋はまだしも、ヤクザ殺人のミステリーにまで広がっ…
夏休み自然と親しむエッセイの第2弾。イルカ好きの素潜り世界記録樹立者ジャック・マイヨールとバハマで過ごした日々の記録。ちょっとあっさり、すっきりしすぎ。マイヨールが言うと、「クジラは何を考えているって、哲学的冥想でしかありえない」ってな言…
この季節になると、何故だか自然に暮らす人の話を読みたくなる。早逝した写真家星野道夫の目が、心が捉えたアラスカの大自然、そこに暮らすインディアンなど人々の暮らし。そして星野の想い。 静かな言葉が心に沁みる。池澤夏樹の解説の一節『言ってみればぼ…
疾走する横浜青春グラフィティ。ちょっと知的な不良って、格好いいなと思う。70年代の横浜ってこんな感じだったのか。どん臭い東京の中学生だった頃だから良く分らないが、ある種スノビッシュな登場人物たちが生き生きしている。(スノビッシュといったら登…
「最悪」と同系列の作品。甲乙つけ難い。小市民の心情を書くのがうまいと思う。解説に、恭子を捉えて、「ある種爽快に道を間違えていく主婦」とあるのだが、「爽快に」というのが言い得て妙だ。悲劇的結末でありながら、全体として重苦しさをそれ程感じない…