イデオロギッシュにあるいは政治的にしか語られない靖国神社を、社会、文化、民俗学的視点で語る極めて興味深い本だった。
- 靖国神社は、ディズニーランドのようなアミューズメントパークであったし、戦後もそうあらんとしていた。
- 九段は、明治の権力者達の地盤山の手と旧来の江戸庶民の下町の境界に位置する特別の場所だった。
- 靖国神社にとっては、春秋の例大祭が重要行事で、8月15日に本来特別の意味はない。
などなど。坪内も言っているように、昭和21年の靖国アミューズメントパーク計画が新聞社のスクープ報道で潰れていなかったとしたらどうなっていただろうと歴史のifを考えてしまう。
文庫版あとがきで、政治的な話に触れられるのだけれど、中曽根、三木の情けないこと。小泉は、著者の提案のとおり、春の例大祭で参拝したんじゃなかったっけ?坪内の言うような理由ではなかったにせよ。
- 作者: 坪内祐三
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2001/07/30
- メディア: 文庫
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Wikipediaの靖国神社の項がなかなか充実しているので、リンクを貼っておく。(8/18)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%96%E5%9B%BD%E7%A5%9E%E7%A4%BE