HONMEMO

読書備忘録です。

2013-05-01から1ヶ月間の記事一覧

物語イスラエルの歴史/高橋正男

何というか、出来事を順番に並べただけみたいな味気ない文章で、また変に細かいところにこだわりがあったりで読みにくく、大局的に歴史を捉えようとする人には向かないだろう。 物語 イスラエルの歴史―アブラハムから中東戦争へ (中公新書)作者: 高橋正男出…

おそめ/石井妙子

伝説の銀座マダムの一代記。 関係人物:大仏次郎、白洲次郎、川口松太郎、川端康成、俊藤浩滋、藤純子・・・ 「おそめ」その人の波乱の生涯それ自体もそうだが、著者のやわらかな文体とあいまって、問答無用で楽しめるノンフィクション。著者石井妙子は、NHK囲…

いつだって大変な時代/堀井憲一郎

いつでも「大変な時代だ」と言うのは、それを超克していく自分たちを偉く感じることができるためで、危険であると。政治家がどんなときでも「わが国は危機的状況にある」と言うのに違和感を感じていたが、そういうことなのだな。 ちょっとメモ。 歴史は繰り…

理系の子/ジュディ・ダットン

インテル国際学生科学フェアに挑む10人ほどの高校生たちを取材したノンフィクション。 研究の内容はそれほど詳しく説明されるわけではないので、中に研究内容としてすごいものなのかよくわからないものもあるが、参加者たちそれぞれのドラマは、なかなかに感…

世界屠畜紀行/内澤旬子

本書では、日本はもとより芝浦の屠畜場で働く人々が具体的にどのような差別を受けてきたかの記述は最小限にとどめている。差別を受けた側の立場に成り代わって被差別の歴史をくわしく書くよりも、まず屠畜という仕事のおもしろさをイラスト入りで視覚に訴え…

ザ・コールデスト・ウィンター 朝鮮戦争/デイヴィッド・ハルバースタム

絶大な人気と共和党保守派中国ロビーを背景に、皇帝のように振る舞い、毛沢東の中国との戦争を望むマッカーサーと、共産主義との対決のありうべき主戦場は欧州と考え、戦争を限定的にしたい、人気のないトルーマン大統領の確執を軸に、ウィロビー、ネド・ア…

無限の網/草間彌生

草間彌生の自伝。 強迫神経症(というのか?)を芸術に転化するエネルギーの凄まじさ。 前衛としての矜持。フリーセックスと反戦平和のロジックはよくわからないけれど、ヒッピー文化にこれほどまで大きな影響をもっていたことは知らなかった。 10年ほど前に…

「ゼロリスク社会」の罠/佐藤健太郎

食品や放射線を中心に、リスクへの対応についてわかりやすく説く良い本だと思う。 ALARA原則というのは食品中のコンタミなどの基準値設定などに際しての考え方だと思っていたが、放射線を扱う労働者の被曝量に関しても採用されているということだ。何だか放…

ソロモンの指輪/コンラート・ローレンツ

ローレンツは、「攻撃」が大学教養課程の時の推薦書か何かになっていて、ちょこっと読んだ記憶があるのだが。 コクマルガラスのチョック、ハイイロガンのマルチナなど有名なエピソードも含めて、楽しい本。 翻訳は、(もちろん)日高敏隆。 ソロモンの指環―…

群青/植松三十里

副題は、日本海軍の礎を築いた男。幕府海軍の草創期から海軍一筋に生き、総裁となった矢田堀景蔵の生涯を描く小説。 維新後も活躍し、歴史に名をとどめた勝海舟や榎本武揚などと比べ、「逃げた海軍総裁」という評判も立てられたりして維新後は政府の閑職をた…

学問のすゝめ/福沢諭吉

明治5年から9年に書かれたものということで、国(国民)の独立を強く意識した様々な提言。 帝国議会すら開設されていない中で政府を国民の代表という位置づけとするようなところにやや引っ掛かりを感じるところもある。 小泉信三による解題つき。 学問のすゝ…