HONMEMO

読書備忘録です。

2007-01-01から1ヶ月間の記事一覧

本の雑誌の選ぶ2006年ベスト10

今更ではあるのだが、WEB上にUPされたので、リンクを貼っておく。

それでもボクはやってない

周防監督の作品ということで、シリアスな問題でもコミカルにユーモラスに描いているのかと思えば、さにあらず。日本の裁判制度の問題点を真正面から捉えて突きつけるといった感じの娯楽作品というよりは社会派作品で、ずっしり重い印象があとに残る。 主演の…

奔馬(豊饒の海・第二巻)/三島由紀夫

これはどうしても三島由紀夫の最期と重ねて読まざるを得ない。三島は何のために割腹したのか?特にその政治的な意図を捉えようとするとき、三島の行為は、私には、言葉は悪いが、ピエロのようにも思えてしまう。しかし、本書の飯沼のように、純粋に生き、若…

春の雪(豊饒の海・第一巻)/三島由紀夫

禁じられること、絶対に不可能であることによって燃え上がる恋。明治・大正時代の貴族社会を背景とした美しい悲恋物語。豊饒の海4巻全体として輪廻転生の物語となるらしいのだが、その主題はまだ始まりのところで終わるのだけれど、この「春の雪」だけできっ…

本屋大賞ノミネート作発表

本屋大賞のノミネート作が発表された。以下のとおり。 『一瞬の風になれ』佐藤多佳子(講談社) 『失われた町』三崎亜記(集英社) 『陰日向に咲く』劇団ひとり(幻冬舎) 『風が強く吹いている』三浦しをん(新潮社) 『鴨川ホルモー』万城目学(産業編集セ…

太宰治2冊(お伽草紙・人間失格)

太宰治を昨年2冊読んで、やっぱりいいなと思ったので、「盲人独笑」「清貧譚」「新釈諸国噺」「竹青」「お伽草紙」からなる一冊を読んだ。風刺が利いて、ユーモアもあり、なかなか今こういう小説ってないなと思う。 「人間失格」は凡そ30年ぶりに再読して、…

東京の戦争/吉村昭

著者が亡くなられた頃に買って積んでいた。カバー裏にあるように、驚くほど「抑制の効いた文章」だ。私が最初に出会った東京の戦争の記録は、たぶん30年ほども前、中学生の頃に読んだ早乙女勝元の「東京大空襲」(岩波新書だったか?)で、もの凄いショック…

芥川賞・直木賞発表

芥川賞は、青山七恵「ひとり日和」。直木賞は受賞作なし。猫猫先生は「大虐殺」と呼び、同様に、豊崎由美は、北村薫が直木賞を受賞しなかったことについて、「人の道としていかがなものか(メッタ斬り)」と。 お知らせ : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

サブカルチャー反戦論/大塚英志

いわゆる戦後民主主義という言葉が侮蔑をこめて語られることが多くなっている中で、若い世代に向けて戦後民主主義を声高に唱えるところに新鮮さを感じた*1。 かつてアメリカがアメリカの都合で押しつけ、アメリカの都合で放棄せよと迫ってきている日本国憲法…

歎異抄/(全訳注)梅原猛

丁寧な注と現代語訳と各条ごとの「こころ」、解説など、初心者にも良く分かる構成となっている。梅原猛の解説が熱い。 思え。ここに一人の僧がある。年は四十を超えた血気ざかり、流罪帰りであり、現代でいえば、ムショ帰りである。しかもその僧は、妻を連れ…

日本社会の歴史/網野善彦

中沢新一の上記の本を読む前にと思って「日本の歴史をよみなおす」という本を探していたのだが、本書をたまたま見つけたので読んでみた。結構売れた本らしい。 カバー裏にあるとおり「周辺地域との海を通じた切り離しがたい関係の中で、列島に展開した地域性豊…

僕の叔父さん網野善彦/中沢新一

網野善彦の業績について、私は「日本社会の歴史」しか知らないけれど、その思想・歴史観がよりよく理解できるようになるように思う。中沢新一と相互に良い影響を与え合っていたのだなということも分かった。これ以上の追悼文はないというべきだろう。 僕の叔…

芥川賞・直木賞予想

メッタ斬りのお二人(豊崎由美&大森望)による恒例の予想=こちら。 全く読まずに予想するのもなんではあるが(というか何の意味もないが)、私は星野智幸と北村薫。

後世への最大遺物・デンマルク国の話/内村鑑三

この世に生を受けたからには何かを遺して逝きたい、では何を遺すべきか。金(チャリティ)、事業、思想(文学)、それぞれ価値あるものだが、誰にでも可能な最大遺物は、勇ましく高尚なる生涯をおくることそのものだとして、二宮尊徳やカーライルの生涯などを…

湯島から根津

先日、湯島天神→旧岩崎邸庭園→横山大観記念館と散歩。 旧岩崎邸庭園 404 Error - Not Found

防衛省発足

防衛省発足。「庁」から「省」というより、自衛隊法改正で海外派遣が本来業務とされ、海外派遣の恒久法が制定されることとなるのだろうということ。 防衛省サイトのQ&A→http://www.mod.go.jp/boueisyou/index.html

装丁物語/和田誠

和田誠の仕事、装丁をめぐるエッセイ。私は文庫本それも古本ばかり買っているのだが、本来、ストックできる場所さえあれば単行本で装丁の美しさも含めて楽しみたいと思っている。谷川俊太郎、星新一、丸谷才一、村上春樹、つかこうへい等々数多くの本の装丁…

香水/パトリック・ジュースキント

以前糸井重里と川上弘美との対談で糸井が紹介していたのでチェックしていた本なのだが、映画化されることを予告編で知ったこともあって、読んでみた。 どんな匂いも嗅ぎ分ける究極の鼻を持つ、自らは体臭を持たない男グルヌイユの異常な一代記。香水の調合師…

芥川賞・直木賞候補作発表

芥川賞 青山七恵「ひとり日和」初 佐川光晴「家族の肖像」5 柴崎友香「その街の今は」初 田中慎弥「図書準備室」初 星野智幸「植物診断室」2 直木賞 池井戸潤「空飛ぶタイヤ」初 荻原浩「四度目の氷河期」2 北村薫「ひとがた流し」4 佐藤多佳子「一瞬の…

アラスカ・星のような物語

TV

NHKにて。楽しみにしていた番組。星野道夫の写真、文章にぴったりと沿った美しい映像に感嘆した。「旅をする木」を読み返したくなる。

世界遺産写真展Ⅲ

かみさんが招待券を手に入れたというので、昨日世界遺産写真展Ⅲとやらを見る。結構な人出だった。

ニシノユキヒコの恋と冒険/川上弘美

ニシノユキヒコを10人の女性が語る10篇の短編連作。この作品の中に、 そのひとの全部を好きになることに決めると、いいだのよくないだの、そういう価値判断をしなくても、よくなるのだ。ただ、好きでいれば、いい。 というフレーズがある。川上弘美の作品全…

倚りかからず/茨木のり子

正月に背筋を伸ばすのもいいかと思って、年末に手に入れた茨木のり子の詩集に目を通す。今年は少し詩も読んでみようかと思っている。 倚りかからず作者: 茨木のり子出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1999/10メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 64回この商…