国の繁栄と貧困を決定するのは、地理的、文化的な要因によるものでも、知識の有無によるものでもなく、その国の制度が収奪的であるか、包括的であるかによるということを、様々な国の歴史をたどりつつ検証する。先に読んだガロー「格差の起源」は、制度要因は1/10にすぎず、地理的、文化的要因の寄与度が大きいとするのだが。両者は対立するものなのか?
本書は、歴史の違い、個人の役割、単なる偶然により、政治経済上の対立の解決方法の違いが生じるが、これが徐々に積み重なって制度的浮動を生み、制度を大きく異なるものとするとしており、この制度的浮動の過程に地理的、文化的要因などが寄与しているということなのかもしれないなどとも思う。