2008-06-01から1ヶ月間の記事一覧
固有名詞は出てこないが、第2次大戦下のハンガリーと思しき暗い時代を背景に、感情を排した文体で、ぼくらの悪徳の数々が綴られる。ぼくらの行為ではないけれど、獣姦まで登場。 「ぼくら」として、まるで一人のように記述されているのが、とても不気味。最…
能に対する深い理解と愛情から、時に厳しい現代*1能楽批判もなされているけれど、能を何にも知らない私のようなものには、理解及ばないところも多い。 さいわいお能には、未だ美しいものが部分的には残っている、それを今のうちに見出して、生まれた当時の生…
母は、謡を習っていたことがあるらしく、正月の朝は、TVから能楽が流れるのが常だった。私は全く分からないし、だから面白いとも思わない。正月らしいめでたさというのか、風雅というのか、そんなことのためのBGM(画面は、静止画像みたいなものだし。)位に…
相性の合う山本周五郎賞受賞ということで読んだけれど。あまり印象に残らない。スカスカしている感じなので、あっという間に読み終わってしまう。まとまらない終わり方だなという気もするし。 解説は篠田節子。選考委員として推したようで、べた褒めしている…
表題作のほか、波紋、雷雨、グウドル氏の手紙、姨捨、満月、小磐梯、鬼の話、道の計8短編。補陀落渡海記は、菊池寛「頸縊り上人」とよく似た話。 井上靖はやはり長編の方がいいかな。 補陀落渡海記 井上靖短篇名作集 (講談社文芸文庫)作者: 井上靖,曾根博義…
表題作のほか、桑の子、有明物語、三条木屋町通りの計5編。(三条木屋町通りだけ、ちょっと時代も毛色も違う。) 高度成長の前まで、こういう極貧の農村はごく当たり前だった。格差社会とかなんとかいっても、こういう話を読むと、まあ全体としては現代日本…
「スゴ本」さんのおすすめで。 世界的ベストセラーになるだけあって、俗ではある。でも、俗がまたスゴくいいんだという本があって、この本なんかはその典型かな。初出は原題「カイト・ランナー」で、映画化もあって文庫化に当たって「君のためなら千回でも」…
現在の中国の小さなお針子たちにとってのバルザックは何だろう。TV,PC…? 瑞々しい青春物語。 考えてみると、バルザックって読んだことがない。「谷間の百合」?…あまり食指が動かないなあ。 バルザックと小さな中国のお針子 (ハヤカワepi文庫)作者: ダイ・…