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読書備忘録です。

能の物語/白洲正子

母は、謡を習っていたことがあるらしく、正月の朝は、TVから能楽が流れるのが常だった。私は全く分からないし、だから面白いとも思わない。正月らしいめでたさというのか、風雅というのか、そんなことのためのBGM(画面は、静止画像みたいなものだし。)位にしか思えなかった。
歌舞伎などに比べても何やら高級・高尚な我が国伝統文化みたいなイメージがあるけれど、あまりに退屈なイメージがあって、アクセスしようという気すら起こらなかったというのが正直なところだ。そんな中で、能の魅力って一体何なのだろう、と思うようになったのは、年のせいか、何だか、良く分からない。とにかく、まずは稀代の目利き、白洲正子に手引をしてもらおうかと。
白洲正子翻訳の能の物語21編。生霊、死霊と共生していた時代の物語は、科学の時代にフィクションとして書かれる幽霊などとはまた違う趣があるし、普遍的な人情、愛の描き方も、素晴らしく感じられて、もっと能を知りたいなと思う。次は、同じく白洲正子の「世阿弥」を読む。

能の物語 (講談社文芸文庫)

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250円@BO