HONMEMO

読書備忘録です。

2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

保守とは横丁の蕎麦屋を守ることである/福田和也

20年も前になるだろうか、石原莞爾の評伝「地ひらく」などを興味深く読んだ頃、著者は江藤淳の弟子的な立ち位置で保守文壇の寵児としてエネルギッシュに活躍していた。その後も「昭和天皇」といった大著もあったことを知っているが、久しぶりに見たのが本書…

22世紀の民主主義/成田悠輔

インターネットやSNSの浸透に伴って、分配・包摂の民主主義は劣化、「偽善的リベラリズムと露悪的ポピュリズムのジェットコースター」となり、成長・占有の資本主義が加速している。しかも、民主主義国家の経済パフォーマンスは権威主義諸国より悪い。 情報…

JK、インドで常識ぶっ壊される/熊谷はるか

親の転勤に伴い、インドで暮らすことになった女子高校生が考えたこと。 思ったよりずっとしっかりした文章で感心させられる。 潜在的な差別意識や固定観念についての気づき、貧富の差に直面しての罪悪感、貧しい子供達の持つ上向きの力=希望についての気づき…

「低学歴国」ニッポン/日本経済新聞社編

教育の問題をさまざまな角度から取り上げている。 官僚養成機関だった東大から官僚を目指す人が減っている。大沢法学部長は、「学生の公共心は健在。ただ、現在では昔と違い、公共に関わる分野が民間を含む色々な方面に広がっている。進路の選択肢も増えた」…

シュードッグ/フィル・ナイト

NIKE創業者の自伝。凄まじい負けず嫌いと情熱。リスクをものともしないというか、ハッタリを超えて詐欺とも言えそうな行動(実際詐欺罪でFBI沙汰になる)をとったりする。痛快な成功物語だが、一方で、日商岩井の人情が際立ち、こういうリスクの取り方、商売の…

生物学的に、しょうがない!/石川幹人

途中から斜め読み。何でこの本を借りたんだったか? 生物学的に、しょうがない! 作者:石川 幹人 サンマーク出版 Amazon

田中耕太郎/牧原出

東京帝国大学法学部長、文部大臣、参議院文教委員長、最高裁判所長官、国際司法裁判所判事を歴任した田中耕太郎の人物評伝。 田中は、論敵を強烈に批判し、明快に自らの価値に基づく意見を主張しつつ、状況に応じた対応をする。このことによって組織内で反対…

文明交錯/ローラン・ビネ

インカの王アタワルパがヨーロッパを征服するという歴史改変小説。 著者は、「ピサロやコルテスが行ったことを、反転させた世界でどのように行わせるかをゲームを楽しむように考えていった」とあるが、読む方より書く方が楽しそうだ。大航海時代などの歴史エ…