HONMEMO

読書備忘録です。

2020-01-01から1年間の記事一覧

還暦からの底力/出口治明

・数字、ファクト、ロジック。エピソードでなく、エビデンスで世界を見る。 ・高齢者は次世代のために働くことに意味がある。 ・ヤング・サポーティング・オールドではなく、オール・サポーティング・オール ・みんなで社会を支える=消費税。困っている人に…

武器としての決断思考/瀧本哲史

自分の人生は、自分で考えて、自分で決めていくべし。その意思決定に当たって不可欠なディベートの思考法・技術指南。 武器としての決断思考 (星海社新書) 作者:瀧本 哲史 発売日: 2011/09/22 メディア: 新書

新しい世界史へ/羽田正

現行世界史の問題点は、 1 日本人(○国人)による世界史であり、共通の世界史がない。 2 現行の世界史は、ある人間集団と他の人間集団の区別を強調する。(イスラーム世界などと違いを強調するのではなく、自らの問題として捉え、共通性に注目する歴史理解と叙…

私的読食録/堀江敏幸・角田光代

堀江敏幸と角田光代による小説やエッセイの中の食をめぐるリレーエッセイ。 角田「本の中に出てくる食べものというのは、読むことでしか食べられない」(「小公女」) 堀江「料理は記憶である」(「わたぶんぶん」) 私的読食録 作者:角田光代,堀江敏幸 発売日: …

しびれる短歌/東直子・穂村弘

様々な心象風景や想いなどをぎゅっと凝縮して短い言葉に詰め込んだ短歌(や俳句)は、優れた水先案内人によって展開して言語化してもらうことでより豊かに心に響くことが多い。 本書により改めて現代短歌に触れて心豊かになる思い。 しびれる短歌 (ちくまプリ…

同調圧力/鴻上尚史、佐藤直樹

「世間」による同調圧力がコロナ禍の中で凶暴化している。 「世間」という強力な敵をよく知った上で、社会とつながる途をさぐること、あるいは、弱い「世間」を複数見つけて参加することが大事になると。 佐藤の指摘する「世間」(×社会)を構成する4つのルー…

家族最後の日/植本一子

著者は写真家。 第1部はモラハラの母親、第2部は割腹・飛び降り自殺をした義弟の話。第3部はステージ3の癌が分かって入退院を繰り返すラッパーの夫と小さな娘2人との暮らしの赤裸々な日記。 苦しいとき、母への憎しみとともに子どものように泣きつきたい衝…

10万個の子宮/村中璃子

子宮頸がんワクチンの接種後、痙攣する、歩けない、慢性の痛み、記憶力の低下といった神経の異常を思わせる様々な症状を訴える人が相次ぎ、厚労省は「積極的な接種勧奨の一時差し控え」を決定。ワクチン接種の副反応だとして裁判にもなったそのような症状は…

不安定化する世界/藤原帰一

2011年から10年間にわたり朝日新聞に掲載された時事評論をまとめたもの。 原発事故直後のコラムでは、原発反対、推進の二者択一の中で、その危険性をどのように削減するかという政策課題が忘れられていることになぞらえて、核抑止に寄りかかる政府と軍縮交渉…

2020年6月30日にまたここで会おう/瀧本哲史

自分で考え、行動せよ。若者に向けた檄。著者は夭逝し、8年後の6月30日の答え合わせを自らすることはできなかったが、氏の講義や本を通じて多くの種が撒かれたということだろう。 実際に行動することはなかなかに難しいことだが、若者を応援しようと思わせる…

わかりやすさの罪/武田砂鉄

「仮タイトルは『わかりやすさの罪』です。最近、日本語がどんどん『易しく』『わかりやすく』なってきているように感じられます。機微や行間のような部分は排除されて、受け取る側が想像する余地がない、ストレートで額面通りにキャッチできる伝え方が重宝…

鴻上尚史のほがらか人生相談/鴻上尚史

長年劇団で様々なややこしい相談ごとにのってきた経験に裏打ちされているからこその回答、語り口。 読む本がなくなってかみさんが図書館で借りていたのを拝借して読む。 鴻上尚史のほがらか人生相談 息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋 作者:鴻上 尚史 発売…

ドリーム・ハラスメント/高部大問

「夢を持て」をやめて「背中で語れ」という主張。 言いたいことは分からないではないが、文体がくどく感じてウンザリ。文体ハラスメントだわ。 ドリーム・ハラスメント 「夢」で若者を追い詰める大人たち (イースト新書) 作者:高部 大問 発売日: 2020/06/10 …

シン・ニホン/安宅和人

データ×AIの世界では全ての変化が指数関数的に起き、これから数十年で生産性が跳ね上がる。 日本は、この15年間一人負けを続けたが、生産性の伸び代は巨大であり、明るい未来を描くことができる。しかし、現状、データ×AIを活用する用意が全くできていない。…

宿無し弘文/柳田由紀子

スティーブ・ジョブズに影響を与えたことで知られる禅僧乙川(知野)弘文の人となりを、日本はもとより、米国、ヨーロッパの多くの関係者のインタビューによって浮かび上がらせる。 マネージメント、組織化という能力に欠けるが、請われて出向いては人々を感化…

デジタル・デモクラシーがやってくる!/谷口将紀、宍戸常寿

ICT、SNSにより情報提供等の戦略のあり方が大きく変化。政治コミュニケーションに関して、メリットもある一方で、フィルターバブル、フェイクニュース、政治家のスキャンダルの情報爆発などによる世論調査のボラティリティの高まりなどの問題があり、一般人…

絶望を希望に変える経済学/アビジット・V・バナジー、エステル・デュフロ

話題となった「貧乏人の経済学」の著者(ノーベル経済学賞受賞者)による、格差、貧困問題などの世界の課題についての見方、考え方、提言。 ・経済学(者)はなぜ信頼されないのか? →経済学者の意見が一般の意見とかけ離れている。例)米国が鉄鋼等に追加関税を…

パワースポットはここですね/高橋秀実

もちろん、全国のパワースポット紹介本ではない。 パワースポットって何?どんなふうにできたの?人はそれに何を求めているの?そこでどんなふるまいを?行くとどうなるの? みたいなことを、毎度のようにぐるぐると考察するお話。 パワースポットはここです…

白人ナショナリズム/渡辺靖

白人ナショナリズムといっても、 反移民系、反LGBTQ系、反イスラム系、クリスチャン・アイデンティティ系、ヘイト全般系、クー・クラックス・クラン系、男性至上主義系、新南部連合系、ネオナチ系、レイシスト・スキンヘッド系 など様々であるようだが、「リ…

捨てられる食べものたち/井出留美

副題は、食品ロス問題がわかる本。見開き1ページにやさしい文章とイラストで論点を整理。見出しだけでポイントが分かる。小学校の副読本などに良さそうな作り。 食品ロスとは、食べられるのに捨てられてしまう食べもの(魚の骨などもともと食べられない部分、…

事実vs本能/橘玲

週間プレイボーイ連載の時事コラムをまとめたもの。 ・国際成人力調査(PAAC)は、大人の読解力、数的思考力、ITを活用した問題解決能力の調査(2011〜12)だが、その結果はにわかに信じられないほどだ。 著者によるその結果のまとめは、やや言い方に難があるが…

SDGs投資/渋澤健

企業の社会的貢献は「利益の最大化」であるとするフリードマンのシェアホルダー・アプローチに代わり、21世紀は、企業の社会的責任は、サステナブルな成長であり、「(ステークホルダーの)価値の最大化」であると考えられるようになってきている。 イエスかノ…

コロナショック・サバイバル/富山和彦

・コロナ危機はL(ローカル)→G(グローバル)→F(ファイナンシャル)の順に襲う。 ・生き残りの鍵として、 1 最悪事態を想定し最善の準備を 2 Bad Newsを明らかにして信用毀損を恐れない 3 日繰りキャッシュ管理が全て 4 トリアージ経営 5 独断即決 6 法的整理も…

北斎になりすました女/壇乃歩也

北斎の娘応為の作品には、夜桜美人図や吉原格子先之図など、光と闇の捉え方がとても美しい、素晴らしいものがある。また、指先の描き方とほつれ髪に特徴があると言う。 また、北斎の作品には、応為との共同作業によるものと考えられるものがある。特に晩年に…

地元経済を創りなおす/枝廣淳子

これからの日本にとって何より大事なのは、地域経済の活力を取り戻すことだ。 そのためには、地域でビジョンを立て、地域経済の状況を把握し、地域にお金を持ってくることよりも地域から出ていくお金を少なくして(漏れバケツの穴を塞ぐ)、地域内乗数効果、地…

チョンキンマンションのボスは知っている/小川さやか

香港のタンザニア人コミュニティの経済活動を中心にしたルポ。(サブタイトルの「アングラ経済の人類学」のアングラというのはややミスリーディング。中古車や修理済み携帯などのスポット的な取引が多く、ニッチではあるが、ほとんどは違法というほどではない…

暴君/牧久

国鉄・JRの労働組合のドン松崎明の評伝。 国鉄労組といえば、経営に介入、生産性の向上、合理化に反対し、順法闘争とかスト権ストとか、なかなか理解しがたい戦術で混乱をもたらし、莫大な累積赤字の主たる原因を作ったというイメージ。そのドンともいう人物…

女帝小池百合子/石井妙子

石井妙子は、おそめ、日本の血脈の2冊を読んだことがあって、その丁寧な取材と文体を好感していたので、ジャーナリスティックな糾弾ものとは異なるだろうと思って手に取ったが、対象が対象だけに(?)やや情緒的な感じではある。 カイロ大学卒業という学歴詐…

おいしい日常/平松洋子

平松洋子は、山田詠美が選者のドゥマゴ文学賞受賞で知っていて(2006年か...)、今回本書はたまたま図書館で目立つところに紹介されていたので手に取った。 日本の普段の食卓には、和食とは異なる様々な味が参入して、ハレの気配が漂い、非日常が日常になって…

官僚制批判の論理と心理/野口雅弘

官僚制について政治思想史の文脈で考えるもの。やはりマックス・ウェーバーの官僚制論が出発点となる。 以下、著者による要約を中心にしてメモ。 ・官僚制へのネガティブな評価は、ここ何年かの日本に固有の問題ではない。官僚制の歴史は官僚制批判の歴史。 …