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読書備忘録です。

新しい世界史へ/羽田正

現行世界史の問題点は、

1 日本人(○国人)による世界史であり、共通の世界史がない。

2 現行の世界史は、ある人間集団と他の人間集団の区別を強調する。(イスラーム世界などと違いを強調するのではなく、自らの問題として捉え、共通性に注目する歴史理解と叙述が必要。)

3 ヨーロッパ中心史観から自由でない。

という問題点がある。

今必要なのは、地球市民としての世界史、すなわち、自と他の区別を強調せず、どこかの地域が中心となるのではなく、人間は地球上で共に生きていることが理解できる世界史、世界中の人々がつながりあって生きてきたことが分かる世界史である。

その構想が具体的に述べられるが、それは、時間を軸とするものではなく、また、いくつもの世界史がレイヤーのように重なる、今までの世界史とは全く異なるものになる。

10年近く前の本だが、このとんでもなく野心的な構想の研究はどのように進展しているのだろうか。

 

新しい世界史へ――地球市民のための構想 (岩波新書)