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読書備忘録です。

商店街の復権/広井良典

レーガン政権登場後、新自由主義的経済政策がグローバリズムとして世界を席巻する中で、日米構造協議などにより日本は大店法改正や農業の自由化などを推し進め、結果として、シャッター商店街耕作放棄地を生むことになった。 日本の地方都市の現状は政策の失敗の帰結なのではなく、むしろ成功の帰結である(まち、ムラを捨てる政策だった)。

一方この間、日本とは逆に欧州(独)は、規制強化と直接支払いの方向に向かった。

シャッター商店街耕作放棄地の問題は、家族主義や土地所有権の絶対性など根深いところに原因があり、解決は簡単ではない。

資本主義が必要とする外部が消失していく中で、ローカルな地域(商店街など)内部での循環というビジネスモデルへの転換が必要になっており(グローバル市場依存型からローカリゼーションへ)、商店街は新たな消費の場として再浮上する。また、商店街は、コミュニケーションの場としての役割に対する期待が強くなっており、「コモンズとしての商店街」としての再生 (中心市街地の活性化)が期待される。

そのための提案として、歩いて楽しめるまちの実現、エリアリノベーション、ワーカーズコープ、若者支援政策とのリンク、空き家税など空き店舗への公的関与の強化、コミュニティ商店街の展開、農業・農村とのリンクなどが掲げられる。

本書は、著者の以上のような基調となる文章の後に各論が続くが、この問題の解決となる具体的な取り組みとして何より重要なのは「人」であること、そして所有権の絶対性の中で、利用権の活用など公的関与を強化すること、コミュニケーションの重要性、若者への期待などが指摘される。