商店街の成り立ちを新書というメディアの制約はありつつも、多角的に丁寧に分析・説明している。ただ、これからどうするのかという提言部分は、「地域の協同組合や社会的企業に営業権を与える仕組み」とか「地域の協同組合に対して小売免許を与える」とか、意味不明。まあ農業問題と同様に難しい問題であろうと。
ちょっと脱線すると、本書の中で、1955年(昭和30年)の政府最初の長期計画「経済自立5カ年計画」のポイントが記されているのだけれど、それは、海外移住の促進、家族計画による出産数の抑制、社会保障による女性・高齢者の非労働力化だと。半世紀以上も経って今やその正反対をどう実現するかが課題になっている。半世紀前は奇跡的高度成長が何もかも打ち消したというところがあるけれど、現下の課題の克服は容易ではない。
商店街はなぜ滅びるのか 社会・政治・経済史から探る再生の道 (光文社新書)
- 作者: 新雅史
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2012/05/17
- メディア: 新書
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