HONMEMO

読書備忘録です。

2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧

茜色の空/辻井喬

大平正芳元首相の生涯についてのノンフィクション・ノベル。 アー・ウー宰相などと言われ、大して能力もないのに派閥順送りで総理にまでなったというイメージがあり、40日間抗争なんてのもあって、自民党派閥政治のなれの果てにこんな人か、菅直人がんばれと…

トレイシー 日本兵捕虜秘密尋問所/中田整一

第二次大戦中米国カリフォルニア州に設けられた日本人捕虜尋問所とそれにかかわる日米の関係者を巡るノンフィクション。 日本人捕虜は、「生きて虜囚の辱めを受けず」との戦陣訓から捕虜となった場合の身の処し方についての指導は行われなかった。そのことも…

30歳キャリア官僚が最後にどうしても伝えたいこと/ 宇佐美典也

官僚制度にいろいろ問題があるにせよ、優秀な人材が外資系金融機関を志向する一方で、若手官僚が官僚バッシングの中で辞めていくという実態は歪んでいる。官僚制度は冷静にきちんと検証する必要があるのではないだろうか。30歳キャリア官僚が最後にどうして…

田中清玄自伝/田中清玄・大須賀瑞夫

戦前東京帝大を出て、武装共産党の指導的地位にあり*1、獄中転向後は、天皇主義者・右翼大物として、石油取引や鄧小平とのパイプなどを通じた日中関係などさまざまな政治的・経済的な場面で暗躍した人のようだ。 天皇中心主義のほか、米国依存からの脱却、ア…

ロング・グッドバイ/矢作俊彦

ロング・グッドバイのあとにロング・グッドバイ。LでなくてRだけれど。 物語として(ハードボイルド作品として)独特の雰囲気がある。横浜、横須賀という地域を背景に米軍や中国系の存在感が、戦後日本、ベトナム戦争をひきずってリアル。 THE WRONG GOODBYE…

ロング・グッドバイ/レイモンド・チャンドラー

20年以上前に読んで以来の再読。村上春樹訳で。 訳者あとがきの文学論はなかなかに難しくて十分には理解できないのだけれど、(ハードボイルドの古典ということを越えて)村上春樹が(純)文学の準古典として評価するところが、本書のぞくぞくするような面白…

アイロンと朝の詩人/堀江敏幸

様々な媒体に発表された小文をまとめた回送電車シリーズの3冊目。回送電車Ⅱはまだ読んでいない。 表題作はバイロンと関係があるのかと思ったが、そうではなくて、アイロンに関係するフランス語から派生するユーモラスな妄想。 「大学の送迎バスに乗り遅れた…

ルワンダ中央銀行総裁日記/服部正也

1965年から71年にかけて、独立後間もないルワンダの中央銀行総裁を務めた日本人の記録。 著者は、中央銀行総裁の本来の責務たる平価切下げと二重為替制度の廃止のみならず、大統領からの信任を得て包括的な経済対策を立案し、現地の、特にルワンダ人の声をよ…

「レ・ミゼラブル」百六景/鹿島茂

レ・ミゼラブルは読まれざる名作だという。私も中学の時に旺文社文庫の縮約版で読んで、フランス革命といった社会情勢などについての詳細な記述が省略されていることは知っていたけれど、それで可とし、読んだ気になっている。 本書は、230の挿絵に内容の要…