HONMEMO

読書備忘録です。

2005-10-01から1ヶ月間の記事一覧

リンさんの小さな子/フィリップ・クローデル

川上弘美による本書の絶賛の評↓に踊らされて購入。 ・・・幾(いく)つも書評を書いてきたが、小説の流れてゆくさまばかりを、こんなふうに書きたくなるのは、私にとっては生まれて初めてのことだ。ただそれだけの、物語。そして、それ以上、何もつけ加える…

天皇ごっこ/見沢知廉

う〜ん。なんだかよく分らんけど、尋常ならざるパワーを感じさせるところはある。解説は宮台真司。ふ〜ん。 最近亡くなった著者の冥福を祈ります。 天皇ごっこ (新潮文庫)作者: 見沢知廉出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1999/07メディア: 文庫購入: 2人 クリ…

リプリー/パトリシア・ハイスミス

一昨日この本を読み始めたところ、偶然にもNHKBSでルネ・クレマン監督アラン・ドロン主演の「太陽がいっぱい [DVD]」を放映していた。30年も前にTVで見た記憶があるのだが、こんなに素晴らしい映画だったかと改めて確認した。ぎらつく太陽などイタリアの風景…

錦繍/宮本輝

こんな小説みたいな長い手紙なんてあり得ないなどというつまらないツッコミを全く許さない、とても美しい、上品な、大人の恋愛小説。一つの極致だなという印象。女性からみると有馬ってどうよというのはあるだろうなという気もするけれど。傑作。 錦繍 (新潮…

オヨヨ島の冒険/小林信彦

ブックオフの105円コーナーで発見。新古書だらけの中ではめっけもの。(このときの掘り出し物のもう一冊は「軍旗はためく下に」(積読中))。70年3月上梓、角川文庫初版が74年。購入したのは、83年の18版。オヨヨシリーズの第一作。オヨヨシリーズといえば一…

私説東京繁昌記/小林信彦・荒木経惟

「繁昌」というのは反語で、東京における<町殺し>の進展による「衰退」、「衰亡」の記録。氏の東京への愛着とそれ故の怒り。天才アラーキーの写真が殺された町の風景を良く捉えている(こういう本は本当は文庫より単行本で楽しみたい)。 私説東京繁昌記 (…

新解さんの謎/赤瀬川原平

三省堂新明解国語辞典はすごいらしいというのは仄聞していたが、本当にすごい。久方振りに爆笑した。こんなに笑ったのは、糸井重里というかイトイ新聞の「言いまつがい」を読んで以来かな。辞書自体がヘンなのだが、著者の料理の仕方がまた秀逸(ヤワラちゃ…

MISSING/本多孝好

センスを疑うタイトルだが、中味はまあ悪くはないってところかな。5編からなる短編集。「瑠璃」のルコ(変な名前だ)がなかなか魅力的だ。 MISSING (双葉文庫)作者: 本多孝好出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2001/11メディア: 文庫購入: 9人 クリック: 97回…

一輪/佐伯一麦

電気工の青年と風俗嬢のロマンス。こういうのを純愛物語っていうんだろう。作者は、私と同世代。今風というのとは違う古くさい(といっては何だが)純愛物語で、じんときた。併録の「ポートレイト」は、ほとんど同じ時期に発表されているようだが、表題作の…

ヴィク・ストーリーズ/サラ・パレツキー

サラ・パレツキーのV.I.ウォーショースキーシリーズは、私の大好きな物語だ。といっても、私の場合、シリーズ物は段々と飽きてしまうもののようで、第1作、第2作(「サマータイム・ブルース」と「レイクサイド・ストーリー」)は素晴らしいと思うのだが、…

ユリウス・カエサル ルビコン以前/以後〜ローマ人の物語8〜13/塩野七生

共和政体で帝国を治めることは不可能なのだろうか? カエサルの偉大さはもちろんなのだが、やはりクレオパトラはなかなか魅力的な人間だと思ってしまう。 ローマ人の物語〈8〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(上) (新潮文庫)作者: 塩野七生出版社/メーカー:…

後宮小説/酒見賢一

どこが面白いのかさっぱりわからない。第1回ファンタジーノベル大賞受賞作ということだが、ファンタジーってのは子供だましのことなのか?選考委員の一人井上ひさしは「シンデレラと三国志と金瓶梅とラスト・エンペラー」の魅力を併せ持つとか言ったらしいが…