HONMEMO

読書備忘録です。

2005-09-01から1ヶ月間の記事一覧

天国までの百マイル/浅田次郎

タイトルからしてクサくて、浅田次郎の本でなければ絶対に手に取らないだろう。クサいんだよ、あざといんだよ、でも、シラけることなく、泣けるんだよな・・・。思わずPPMのCDを出してきて500Milesを聞いちゃったよ。 天国までの百マイル (朝日文庫)作者: 浅…

消えた少年たち/オースン・スコット・カード

家族小説の傑作。夫、妻として、あるいは父、母としてのステップとディアンヌの心の動きが、すごくリアルに描かれていて、身につまされるよう。いろいろと考えさせられる深みのある物語だ。北上次郎の思い入れいっぱいの解説によれば、「本の雑誌」による90…

大誘拐/天藤真

四半世紀前に上梓されたミステリーの傑作として名高い作品。奇抜な設定とユーモアが楽しい。 大誘拐―天藤真推理小説全集〈9〉 (創元推理文庫)作者: 天藤真出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2000/07メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 45回この商品を含む…

あかね空/山本一力

江戸町人もの人情小説。直木賞受賞作だが、なんかもう一つ・・・という感じ。井上ひさしは、選評で、家族を奇麗事で書かなかったのが作品の厚みになっていて、第二部で家族間の愛情のもつれを訂正していく構成が知的だという旨のことを言っていたようだが、…

ウォータースライドをのぼれ/ドン・ウィンズロウ

ニール・ケアリーシリーズ待望の第4弾なのだが・・・。一作目の「ストリート・キッズ」から作を追うごとに少しづつ面白さ、感激が感じられなくなってくる。「ストリート・キッズ」が面白すぎたというべきかもしれない。ニールに年を取らせたのがいけないん…

不夜城/馳星周

中国、台湾系マフィアが抗争を繰り広げる歌舞伎町。裏社会には、カモる人間とカモられる人間しかいない。生き延びるためには嘘つき、人殺しなどなんでもアリと考える主人公劉健一と、初めて似たもの同士というか、同種の人間だと認めて愛するようになる女小…

ラッシュライフ/伊坂幸太郎

人気の作家だが、初めて読む。いくつかのストーリーが並行して進み、終盤にその時間的からくりが明らかになっていくのだが、それぞれのストーリーが基本的に退屈で、かつ仕掛けが「作ってます」という印象が強くて鼻につく。 カカシ殺し(?)を描くという「…

白洲次郎 占領を背負った男/北康利

帯の城山三郎の推薦文にあるとおり、白洲次郎が持つ「不思議な存在感」が良く伝わってくる。うるさ型を好むうるさ型の信念の人だったようだ。英国風ダンディズムとともに明治の人間の気骨みたいなものを感じさせる。 白洲次郎と関係のないエピソードがいろい…

山谷ブルース/エドワード・ファウラー

米国人の学者によるバブル期を中心とした山谷のルポ(エピローグで、バブル崩壊後の状況の悪化についても記されている)。労働者、組合幹部等へのインタビューや実際に日雇労働者となってドヤに泊り込んで暮らした日々の日記などからなる。 主流社会からはじ…

白夜行/東野圭吾

73年の質屋主人殺人事件の被害者の息子亮司と質屋の顧客だった女の娘雪穂の周辺で20年にわたって起こる数々の殺人事件、婦女暴行事件・・・。亮司は闇に、雪穂は華やかな世界に生きるようになる。亮司と雪穂の関係が直接的には語られないので、様々な想像が…

青空のルーレット/辻内智貴

こういう小説に素直に感動できないというのはある意味悲しいことかもしれない。 「夢を見るから人間なんだ!」みたいなセリフは、クサッとは思うけど、まあいいだろう。でも、萩原の「人生は・・・」って長ゼリフは、クサイを通り越して吐き気を催させる。(…

文人悪食/嵐山光三郎

食(たべること)を切り口とした夏目漱石から三島由紀夫にいたる40人近くの文豪評伝。嵐山光三郎って、そこいらのタレント的編集者みたいなものかと思っていたが、しっかりした文章で驚いた。明治から昭和初期にかけてのいわゆる名作って学生時代に結構読ん…