HONMEMO

読書備忘録です。

2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

自然、文化、そして不平等/トマ・ピケティ

「21世紀の資本」は、"資本収益率(r)>経済成長率(g)であるため、富は資本家へ蓄積され、格差を生む。その是正のための再配分が不可欠"という程度しか知らないが、大著でもあり、読むつもりはない。楽をしてピケティの考えの一端に触れようと思って2022年…

シン・中国人/斎藤淳子

著者は北京に長く住むライター。 最近の若者の恋愛、結婚事情を中心とした中国社会事情ルポ。 中国では経済成長もそうだが、結婚平均年齢、離婚率の上昇、少子化など社会構造も超高速・圧縮型で変化した。 貧富の差の拡大、不動産価格の高騰などの経済成長に…

夜と霧の隅で/北杜夫

北杜夫は中高時代の青春の書。 ほとんど覚えていないのだが、冒頭に置かれた「岩尾根にて」の蝿のたかる死体と自己が分裂する幻想など、ところどころ、ああそうだったとよみがえる。「夜と霧」を読んだついでにと借り出したのだが、表題作は全く覚えていなか…

夜と霧/V・E・フランクル

今更ながら。 精神医学、心理学の古典という理解だったが、本書は人間とは、生きるとは何かということを突き詰めるいわば哲学書のようだ。 大方の収容者は、収容所を生き延びる(生きしのぐ)ことができるかということ、すなわち、生き延びられなければこのす…

世界中から人が押し寄せる小さな村/島村菜津

アルベルゴ・ディフーゾとは分散型の宿などと訳される、地域に点在する古民家などを拠点として、自然や農村の暮らしを楽しむようなシステム(レセプションはひとつ、食事は村の食堂)又はその宿。イタリアでサント・ステファノ・ディ・セッサニオという村など…

言語の本質/今井むつみ・秋田喜美

子どもはどのようにして言語を習得していくのか。オノマトペのアイコン性、アブダクション(仮説形成)推論の連鎖、ブートストラッピングサイクルよる知識の爆発的な増加など、その機序の探求過程はエキサイティングだ。対称性推論バイアスを持ち、アブダクシ…

2030年中国ビジネスの未来地図/チョウ・イーリン

これからの不動産市況なども含めてのママクロ経済の行方とその影響とかも含めての近未来予測を期待していたこともあって、最新の消費トレンドと企業の対応といったあたりがメインとなっている本書は、期待はずれ。ズレた期待をする方が悪いけど、ここで書か…

思考停止社会ニッポン/苅谷剛彦

コロナ禍で言われた「自粛」という言葉には、戦時下など過去の経験が知識として社会認識に加わり、自粛の要請といった妙な表現につながっている。自粛による行動統制は成功体験となったが、この体験が、同調圧力といった言葉で納得、思考停止してしまう日本…