HONMEMO

読書備忘録です。

2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

「家族の幸せ」の経済学/山口慎太郎

経済学とは、「人々がなぜ・どのように意思決定し、行動に移すのかについて考える学問」であるので、結婚、出産、子育て、家族の幸せも対象となる。カネに関係なくとも。そうなんだ。 結構当たり前じゃないかということが多いのだが(もちろん、へえ〜と思う…

横浜の時を旅する/山崎洋子

横浜の老舗ホテルニューグランドを通して見る人々と横浜の歴史。老舗ホテルといえば、帝国ホテル、ホテルオークラなどもあるが、ニューグランドの佇まい、その纏う雰囲気が一味違うように思えるのは、まさに横浜という町の歴史を背負っているからだ。 ドアマ…

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー/ブレイディみかこ

日本で暮らしていると分からない"ダイバーシティ"の実際。 母子の会話: 「多様性ってやつは物事をややこしくするし、喧嘩や衝突が絶えないし、そりゃないほうが楽よ」 「楽じゃないものが、どうしていいの?」 「楽ばっかりしてると、無知になるから」 これ…

暴走する日本軍兵士/ダニ・オルバフ

著者はイスラエルの若手研究者。明治以来(維新、佐賀の乱からニニ六事件まで)の日本軍軍人の不服従の歴史を英語で書いたものは、本書が初めての試みであるという。ただ、日本人にとっては、大枠で常識的な内容なのではないかな。 暴走する日本軍兵士 帝国を…

黄金夜界/橋本治

金色夜叉の本歌取り。 金色夜叉がそうであるように(粗筋しか知らないけど)、ストーリー自体は極めて通俗的なのだが、平成の時代を切り取って見事(橋本治晩年の小説は皆そうだ。)。 怒りさえもねじ伏せてしまう強い絶望のうちにある貫一には、愛すらも欠落し…

作家と楽しむ古典(5)/松浦寿輝ほか

松尾芭蕉ー松浦寿輝 与謝蕪村ー辻原登 小林一茶ー長谷川櫂 近現代俳句ー小澤實 近現代詩ー池澤夏樹 作家と楽しむ古典シリーズの第5巻 奥の細道は、歌枕を訪ねる旅。古今和歌集や新古今和歌集が芭蕉に旅され、詠まれることで、その土地には文学的な記憶が再充…