HONMEMO

読書備忘録です。

2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

恥辱/J・M・クッツェー

主人公デヴィッドは、2度の離婚経験のある大学准教授で、教え子に手を出してケープタウンの大学を追われ、農園に一人住むレズビアンと思しき娘ルーシーのところに転がりこみ、近くの動物病院で犬の安楽死、死体の焼却などを手伝いはじめますが、ある日、3人…

アホの壁/筒井康隆

筒井版精神分析入門という感じの本です。筒井康隆らしいアホなタイトルのアホな本です。 朝日新聞のサイトで連載されている筒井康隆の「漂流 本から本へ」は、お気に入りのコラムですが、そこで、フロイトの精神分析入門にのめり込んだことが書かれていまし…

ゴメスの名はゴメス/結城昌治

1962年に上梓されたベトナム戦争下のサイゴンを舞台としたサスペンスです。解説によれば、著者にとっても愛着のある、推理小説史上も重要な作品ということですが、私にはさっぱりでした。タイトルは印象的なのですけれども。 ゴメスの名はゴメス (光文社文庫…

永遠の都/加賀乙彦

文庫版で全7冊の長編大河小説です。時代は昭和10年から22年まで(時田利平の回想なども含めれば日露戦争の頃から)。 登場人物は、漁師から身を起こし、苦学して海軍軍医となり、日露戦争に従軍、その後三田で開業して一大病院を経営する、まさに立志伝中の…

五番町夕霧楼/水上勉

映画化されたりもした著名な作品ですが、金閣寺焼失事件がモチーフになっていることは知りませんでした。著者には、「金閣炎上」という作品もあり、こちらがおそらく、三島由紀夫の「金閣寺」同様の放火自体を中心にした作品なのでしょう。本作では、金閣寺…

思考停止社会/郷原信郎

『「法令遵守」が日本を滅ぼす』の続編のような本です。「法令遵守」という印籠が出されると、もはやいかなる反論も許されなくなり、何が真に問題であるかということを考えることもなく、断罪されてしまうとして、不二家、伊藤ハムの「偽装」、「隠蔽」事件…