HONMEMO

読書備忘録です。

2010-12-01から1ヶ月間の記事一覧

今年の3冊

毎年恒例のまとめを。 今年読んだ本は、71作品(87冊)。ことしは結構良い本に多く出会えた年だったように思います。 恒例によって、今年の3冊と思いましたが、絞るのが難しいので、思い出すまま。 まずは何と言ってもこれ。加賀乙彦「永遠の都」 日本文学で…

これでよろしくて?/川上弘美

かみさんが図書館で借りてきているのを途中で拝借して読みました。婦人公論連載にふさわしい(?)夫婦仲、嫁姑ものですが、川上弘美らしい、ほんわかしながらあられもないというか、苦笑するやら痛いやらといった感じと言えばいいでしょうか。 これでよろし…

犬の力/ドン・ウィンズロウ

麻薬取締局捜査官の主人公、メキシコの麻薬カルテル、アメリカのマフィアらの血で血を洗う抗争を描くバイオレンス・アクションです。中米の不安定な政情を背景とした政治的謀略もからんで、スリリングなコン・ゲームものとなっています。ドン・ウィンズロウの…

帝国以後/エマニュエル・トッド

無意識のうちにアメリカの側に立って物事をみていることが多いのではないかということに改めて気付かされました。もっとはやく読んでおきたかったと思います。 人口学が国の盛衰、世界を読み解くパラメーターとなるというところも新鮮でした。 帝国以後 〔ア…

国家の命運/藪中三十二

タイトルがぶっ飛んでますね。まあそれはどうでもいいのですけれど。 まえがきに暴露的レポートを書くつもりはないとあるとおりで、スマートではありますが、表層的な記述しかありません。いかにも優秀な外務官僚の著書らしいという印象です。 オフェンスと…

流跡/朝吹真理子

大好きな堀江敏幸が選考したドゥマゴ文学賞受賞ということで、手に取りました。amazonの書評で小谷野センセイがこれは散文詩だと言っていますが、そういうことなのかもしれません。小説、エッセイ、散文詩といったもののあわいの文学というイメージのある堀…

なぜ私だけが苦しむのか/H.S.クシュナー

原題は、「なぜ善き人々に悪いことが起こるのか」というものです。ユダヤ教のラビである著者は、息子を「早老症」で若くして亡くすという辛い体験を通じて、「なぜ何も悪いことをしていない人に、神は酷い苦しみを与えるのか」あるいは「神はなぜホロコース…

シズコさん/佐野洋子

母と娘の関係というのは、子供が独立してからも比較的密接な関係を継続するちょっと特別な親子関係ではないかという気がします。母シズコさんをずっと嫌いだったという佐野洋子が、そんな母に対する感情、母娘の関係を赤裸々に綴っています。母を許せるよう…

幼年期の終わり/アーサー・C・クラーク

解説に「現代の黙示録的文学の古典として広く親しまれてきた」とあるとおり、そういう書としてSFのベスト10の常連となっているのもよくわかりますが、ワクワク感に乏しくて、私にはもう一つという感じでした。 幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)作者: ク…

悪人/吉田修一

映画を先に観ました。良い作品だと思いました。そんな場合、あとで小説を読むと、とりわけ原作に忠実に映画化している場合などは、イメージが限定されてしまって、小説を読む楽しみが半減してしまう…。先に小説を読みたかったという気がします。ブックオフで…