2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧
戦争直後、貧乏学生吉岡が弄んで棄てた田舎者のブサイクだけれど純情な娘森田ミツは、ハンセン病の疑いありとして、精密検査のために御殿場の療養施設へ行き…。遠藤周作の聖女物語。社長の縁戚の娘との結婚が決まった吉岡がハンセン病感染の恐れにおののく物…
元過激派の権力嫌いの破天荒な父親に引っかきまわされる家族を小学校6年生の息子の目からみた、爽やかな物語。だいたい左翼過激派なんてのは、陰湿で暗〜いイメージなのだけれど、このお父さんは、体育会系で枠ははみ出ているけれど吞気で明るい。本当に毒が…
自然主義文学の代表作ということで、文学史上に名を残す本だが、文章自体は下手くそな気がするし、若い女弟子の布団の匂いを嗅ぐなんてユーモア小説かという感じもするし。同時代に読むのとは違うのだろう。 蒲団・一兵卒 (岩波文庫)作者: 田山花袋出版社/メ…
老師と少年の禅問答的な対話。今の私にはこの少年のような根源的な問いに向き合おうという気持ちがない。 老師と少年 (新潮文庫)作者: 南直哉出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/11/28メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 11回この商品を含むブログ (14件) …
まあ想定の範囲内というか。福永武彦「草の花」を評価していて、ちょっと意外。福永武彦は学生の頃いくつか読んで、好きだったけれど、すっかり忘れている。 新・堕落論―我欲と天罰 (新潮新書)作者: 石原慎太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/07メディ…
「派遣世代」を代表する文学であるとの評価があると解説にある。芥川賞受賞の表題作はまさにそんな感じ。 併録の「十二月の窓辺」は、著者の体験をベースにしているようで、パワハラがとてもリアル。 ポトスライムの舟 (講談社文庫)作者: 津村記久子出版社/…
表題作のほか、幽霊、ロビンソン、魔都、XXからなる連作短編集。旧日本陸軍の非公式極秘スパイ養成機関を舞台とする、スパイ、コンゲームもの好きにはたまらない、絶品のエンターテインメント。シリーズ化しているようなので、これからも楽しみ。 吉川英治文…
文庫本で1200ページを超えるということだけでなくて、様々な文学的形式を持ちこみ、地理的にはアメリカ、フランスにまで、時間的にも近代日本というだけでない広がりを持つ大作であり、また、作者津島祐子の一族をモチーフとしていること、女性、生と死とい…
「サニーデイ」、「ここが青山」、「家においでよ」、「グレープフルーツ・モンスター」、「夫とカーテン」、「妻と玄米御飯」からなる夫婦、家族をモチーフとした短編集。うまい。面白い。だから、なんだかもの足りなくも思うけれど。 Wikiに「家日和」なん…
百姓は農民とイコールではないということをきちんと認識するだけで、日本の(というか、この地域の)歴史は全く違う様相を見せる。受験生とか、歴史が退屈だと思っている人も、この本を読むと歴史を知る(学ぶ)楽しみがわかるのではないかなと思う。 日本の…
立川談志の弟子、談春が真打ちになるまでの自伝。新作の人情噺を聞いているかのよう。 赤めだか作者: 立川談春出版社/メーカー: 扶桑社発売日: 2008/04/11メディア: ハードカバー購入: 30人 クリック: 195回この商品を含むブログ (293件) を見る
あとがきによると、小説新潮山本周五郎賞発表特集号用に毎年書いた短編をまとめたもののようだ。名医でも悪医でもない「普通の良医」を書いたという全10編。 風花病棟 (新潮文庫)作者: 帚木蓬生出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/10/28メディア: 文庫 ク…
「あなたたちの恋愛は瀕死」を併録。 関西弁の話し言葉をそのまま書いていくようなところがなかなかいい。町田康とは全然違うけれど。母と娘の話はやはり女性の方が実感できるかもしれない。 芥川賞受賞 乳と卵(らん) (文春文庫)作者: 川上未映子出版社/メー…
日本のメディアが伝えないアメリカの変な現実を拾ったコラム(本書前書から)。時事、映画、政治、東スポ的なネタなどなどを独自の視点で切り取っていて、刺激的。 キャプテン・アメリカはなぜ死んだか (文春文庫)作者: 町山 智浩出版社/メーカー: 文藝春秋…