HONMEMO

読書備忘録です。

2005-01-01から1年間の記事一覧

年も押し詰まり・・・

今年は本を読みすぎた。ヒマに任せて数えてみたら、147作品*1、182冊*2。2日に1冊は、私にしては読みすぎだ。 今年よく読んだのは、浅田次郎、斎藤美奈子、橋本治。純文学系の本も私にしては結構読んだ方かな。 *1:上下等に分冊となっているものも1作品と数…

大作、長編を続々読みたいけれど・・

今、水村美苗「本格小説」を読んでいるが、今年中に読み了るかどうかというところ。これも文庫で1000ページを超える長編。次は、休み中に立花隆「天皇と東大」の予定。これは大いに楽しみ。大枚はたいて買ったし。ちょっと前から積んであるのでは藤田宜永「…

エーゲ 永遠回帰の海/立花隆・須田慎太郎

言うことなし。最良の旅行記だと思う。もっともっと濃く語れるところをとりあえずはこんな所でってな感じではあるのだけれど、知的興奮の入り口として十分だ。 エーゲ―永遠回帰の海作者: 立花隆,須田慎太郎出版社/メーカー: 書籍情報社発売日: 2005/10メディ…

椿山課長の七日間/浅田次郎

相変わらずの浅田節。安心して読めるというより、今年は浅田次郎を結構よく読んだこともあって、やや食傷気味。新刊発売後1月もしないうちにブックオフで見つけて思わず買ってしまって積んであったもの。ご都合主義がちょっと鼻についたりもしたけど、まあで…

ああ、顔文不一致/勢古浩爾

饒舌調の文章にのせられてわははと笑いつつ、形而下の顔は形而上の文(心)に規定されるってなお話とか、まあそりゃそうだわなではあるのだが、それでもなかなか面白く読む。ちょっと話がいろいろ拡散しすぎな気もするが。 文学者の顔と文についての話がやは…

アンジェラの灰/フランク・マコート

アイルランド系米国人(アイルランド人?)フランク・マコートのアイルランドで育った少年時代の自伝。ピュリッツァ―賞受賞作。呑んだくれで、稼いだ金はもちろん失業手当まで飲んでしまう父親のせいで極貧の生活を強いられながら、それでもその父を憎めない…

12人の優しい日本人/12人の怒れる男

三谷幸喜の「12人の優しい日本人」が舞台で再演されている*1ようだけれど、チケットが手に入るわけでなし。ヘンリー・フォンダ主演「十二人の怒れる男」と併せてDVDを借りて見る。「優しい日本人」は「怒れる男」のパロディ作品。両作品ともすごく面白かった…

年間ベストセラー

大手取次ぎ(日販)による年間ベストセラーは、次の如し。*1 (1)頭がいい人、悪い人の話し方(樋口裕一、PHP研究所) (2)香峯子抄(主婦の友社編、主婦の友社) (3)さおだけ屋はなぜ潰れないのか?(山田真哉、光文社) (4)新・人間革命14(…

毒猿 新宿鮫Ⅱ/大沢在昌

新宿鮫シリーズの第2作。第1作に比べて、スケールが大きいというか、劇画的というか、ドラマチックになっていて、この点の好みは分かれるところだろう。鮫島と似たところのある台湾人刑事郭との友情、中国残留孤児2世奈美と毒猿との関係の描き方などもなかな…

食う寝る坐る 永平寺修行記/野々村馨

著者の筆がセンチメンタルに思えてもう一つだったが、永平寺の修行の模様を知るという点ではなかなか面白かった。むしろこの点に特化してディテールをもっと盛り込んで欲しかった。 新米雲水に対する古参の暴力は、旧日本軍の新兵教育を髣髴とさせるものがあ…

ホット・ロック/ドナルド・E・ウェストレイク

でっかいエメラルドを盗み出せ!主人公ドートマンダーは、なんだかもうひとつ頼りない4人の相棒たちを使う綿密かつ大胆な(!)計画をたてる。ところがエメラルドはするりするりと彼の手から滑り落ちて・・・最後はオッと楽しいどんでん返し。ドートマンダー…

糸井重里の『乱世を生きる 市場原理は嘘かもしれない』評と「拒否できない日本」

ちょっと前のほぼ日の「今日のダーリン」から。 『乱世を生きる 市場原理は嘘かもしれない』 借金あるらしいけれど絶好調の橋本治の「経済本」です。とにかく根っこの根っこの部分から考えるのが、橋本くんの特長ですけれど、この新著もスゴイです。「勝ち組…

漢詩への招待/石川忠久

漢詩を読むのは高校の漢文の授業以来だろう。有名な蘇軾の詩「春夜」 春宵一刻値千金 花有清香月有陰 歌管楼台声細細 鞦韆院落夜沈沈 沈沈ってところでヘンなウケ方をしていたな、などとヘンなところだけ憶えている。 この本は、読み下し文と訳があるのだが…

異人たちとの夏/山田太一

続いて周五郎賞受賞作。映画*1は、十数年前、ロードショーで観て大好きな1本。映画はかなり原作に忠実に作られていることがわかる。小説を読んでいて、登場人物が風間杜夫、片岡鶴太郎、秋吉久美子、名取裕子になってしまって困る(別に困らないか)。両親と…

五年の梅/乙川優三郎

表題作を含め5篇の短編集。「やり直し」「生き直し」(解説の川本三郎)の主題が優しい目で綴られる。健気。しみじみ。山本周五郎賞受賞作。この作家を読むのは「椿山」「霧の橋」についで3作目。 五年の梅 (新潮文庫)作者: 乙川優三郎出版社/メーカー: 新潮…

われ笑う、ゆえにわれあり/土屋賢二

藤原正彦と並ぶお茶の水女子大学名物教授(?)によるエッセイ。わははと笑えるというものでもないのだが、普通当たり前と思っていることを疑ってみたり、ちょっと違う仮定をおいてみると論理的結果が結構バカらしいことになるってな感じで、なかなか楽しい。…

乱世を生きる 市場原理は嘘かもしれない/橋本治

集英社新書3部作の完結篇(らしきもの)。う〜ん。途中でlostしちゃった感じだな。読み返せばもう少し理解も深まるのだろうけど。 今の経済には一つの方向すなわち「利潤を得る」しかない。しかし、経済というのは(バレンタインのチョコレートで分るように…

東亰異聞/小野不由美

いわゆる本格ミステリの筋立てに禍々しいホラー・ファンタジーの趣向を織り交ぜて、読ませる。闇御前とか火炎魔人とかが跋扈する東京ならぬ「東亰」ってことだけで、何やらワクワクするもんね。ただ、最近は本格ミステリ的謎解きものは面白いと思えなくて(も…

上司は思いつきでものを言う/橋本治

橋本治の新刊「乱世を生きる〜」を手にとったところ、『「分らない」という方法』、本書を含めての3部作完結篇(のようなもの)と書いてあったので、同書を読む前にと思い、ブックオフにて105円にて購入して読む。タイトルからはビジネス本・ハウトゥー本みた…

自民党新憲法草案

先頃自民党の憲法草案が公表されたけれど、中味についての議論は別として、この自民党憲法草案の前文の格調の低さは何とかならんのかと思う。現行憲法は英語からの翻訳だけれど、現行憲法の方がまだしもと感じられる。例えば、草案の第2パラ 象徴天皇制は、こ…

桃尻娘/橋本治

「桃尻娘」(主人公の玲奈)って高校生だったんだ(女子大生だと思ってた・・・というのはまぁ続編があるからひょっとすると間違いではないのかもしれないが)、更に言えば、インテリだったんだ。それになんか凄いイイコちゃんじゃん。品は良くないかもしれな…

犬婿入り/多和田葉子

何じゃこりゃあ・・・ユーモラスな民話チックブンガク?!私のような凡人には訳ワカランという点で笙野頼子センセに並ぶ。でも何だか楽しい作品ではあった。芥川賞受賞の表題作のほか、「ペルソナ」を収録。こちらの方が分り易いということはあるのだが、作品…

ダック・コール/稲見一良

何でこの作品を知ったのだったか。山本周五郎賞受賞作ということでだったろうか。これもブックオフで105円で見つけて購入。石に描かれた野鳥がつなぐ6つの短編。それぞれの内容は、縄田一男が解説でコンパクトにまとめているので省略するが、「密猟志願」の少…

東京堂書店

何を今更ではあるのだけれど、東京堂書店ってユニークだなぁ。学生の頃、三省堂とか、書泉ブックマート、グランデなんかは比較的よく覗いたのだけれど、東京堂書店は靖国通りに面していないから知らなかったというだけだと思うのだが、行ったことがない。ユニ…

アースダイバー/中沢新一

東京の縄文地図をもとにして中沢が紡ぐイメージ、幻想、妄想(?)が楽しい。怪物としての金魚なんていうのも、う〜むなるほどなぁと思ったサ。 最終章「森番の天皇 皇居」もまた面白い。 女性天皇の誕生をもって、・・・南方的・縄文的な双系原理が皇室の中によ…

生協の白石さんSPAM

先ほど、次のようなSPAMが着信。こういうのが来るというのは、ここに先日「生協の白石さん」について書き込んだことと関係があるのだろうか。ああイヤだ。 先ほど一旦メールの内容をコピーしたのだけれど、いかがなものかと思い直し、削除しました。

国家の品格/藤原正彦

藤原正彦といえば、私にしてみれば「若き数学者のアメリカ」、「遥かなるケンブリッジ」など軽妙なエッセイで知られる数学者なわけで、氏が「国家の品格」というタイトルの書を著すということ自体がちょっとした驚きだったのだが、読み終えてある種爽やかな…

12月の新潮文庫新刊は盛りだくさん

12月の新潮文庫新刊*1は、「模倣犯」(3分冊のようだ)、「本格小説」(上下)、「博士の愛した数式」と盛りだくさんだ。早いところ積読本を消化しておかなくては・・・。 *1:http://www.shinchosha.co.jp/bunko/sokuho.html

人は見た目が9割/竹内一郎

「非言語コミュニケーション」入門ということだが、常識的なお話が取りとめもなく語られるだけで、新しい発見や驚きがほとんどなかった。「憎茶」ってのは知らなかったが。新潮新書に対しては期待値を下げているのでこんなものだろうって感じ。懲りもせず今…

雨月/藤沢周

「ブエノスアイレス午前零時 (河出文庫―文芸コレクション)」がいかにも芥川賞受賞作らしいブンガク作品であるのに比べて、この作品は官能ホラーサスペンスという趣で、エンタメ要素もたっぷりなのだが、それでも、女のしぐさや匂いについての描写などじっくり…